丸本物(読み)まるほんもの

百科事典マイペディアの解説

丸本物【まるほんもの】

歌舞伎劇のうち,人形浄瑠璃から台本を移入した作品系列をいう。演出法も多く取り入れ,人形浄瑠璃と同様に義太夫節を使うのが特色で,義太夫狂言とも,また三味線の音からデンデン物ともいう。《国性爺合戦》《仮名手本忠臣蔵》《夏祭浪花鑑》などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

まるほんもの【丸本物】

歌舞伎狂言の成立による分類の一つ。義太夫狂言。院本(いんぽん)物,義太夫物,竹本劇,でんでん物(太棹三味線の音からとる),丸本歌舞伎(戸板康二の造語)などの別称がある。人形浄瑠璃で演じた作を歌舞伎に移行したものである。丸本物は,元来人形のために書いたものであり,作者がのびやかに構想を立てているので,戯曲としての骨格が太く文学性に富み,細密な趣向が凝らされているのが特色である。1708年(宝永5)ごろから歌舞伎への移入がはじまり,15年(正徳5)の近松門左衛門作《国性爺合戦》が京坂や江戸で競って歌舞伎化されたのが流行の端緒となった。

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精選版 日本国語大辞典の解説

まるほん‐もの【丸本物】

〘名〙 歌舞伎脚本中、人形浄瑠璃の作品から改作したもの。必ず「ちょぼ」という地の文を義太夫節で語る部分があり、扮装(ふんそう)、演出も人形に基づくことが多い。院本物(いんぽんもの)。丸本歌舞伎。義太夫狂言。でんでん物。竹本劇。

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世界大百科事典内の丸本物の言及

【歌舞伎】より

…この結果,歌舞伎は人形浄瑠璃の陰となり,〈歌舞伎はあれども無きがごとし〉と評されるほどであった。《菅原伝授手習鑑》《仮名手本忠臣蔵》《義経千本桜》をはじめ《夏祭浪花鑑》《双蝶々曲輪日記(ふたつちようちようくるわにつき)》《一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)》《源平布引滝》など,現代の歌舞伎における〈丸本物〉の代表的レパートリーになっている作品の大半のものは,この時期に創作され,ただちに歌舞伎化されたものである。 このころ,初世瀬川菊之丞,初世中村富十郎ら女方の名優たちの活躍によって,〈所作事〉が確立する。…

【竹本】より

義太夫節の別称,また歌舞伎専門の義太夫節演奏者の称。義太夫狂言(丸本物)では,浄瑠璃の詞章のうちで登場人物のせりふの部分は俳優が自分でしゃべり,地の文章と節のついた部分を竹本が受け持つのが原則である。竹本は舞台上手の上部に設けられた御簾(みす)内,もしくは特別に設けた床(ゆか)で演奏する。…

※「丸本物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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