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笠地蔵 かさじぞう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

笠地蔵
かさじぞう

日本の昔話の一種。大歳の日に,雨や雪で濡れている路傍の地蔵に対しをかぶせた善行により,が福運を授かるという話。この話は全国に分布しており,なかには寺社縁起と関連している事例もある。いずれの場合も共通する特色は,この出来事が起った日時を,大歳の日としている点である。背景には歳神に対する信仰が考えられるが,これは,同じ大歳の出来事をテーマにもつ「大歳の客」の昔話により顕著にみられる。

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デジタル大辞泉の解説

かさ‐じぞう〔‐ヂザウ〕【×笠地蔵】

昔話の一。年の暮れに心やさしい老爺(ろうや)が雪をかぶった六地蔵に笠をかぶせてやると、夜中に六地蔵が米や金をお礼に持って来るという話。

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百科事典マイペディアの解説

笠地蔵【かさじぞう】

昔話。笠長者とも。大晦日(おおみそか)に雪中に立っている地蔵を気の毒に思い,貧しい爺(じじい)が売物の笠をかぶせ,足りぬので自分の笠までぬぐ。その心をめでて地蔵が福運を恵む。
→関連項目伝説

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世界大百科事典 第2版の解説

かさじぞう【笠地蔵】

昔話。無欲な爺が笠をかぶせた地蔵から幸運を授けられる話。地蔵の数や爺の職業は一定していないが,沖縄を除く日本各地に分布する。これは地蔵信仰の普及と関係があろう。貧乏な爺が正月用品を調達に行く途中,雨にうたれる地蔵を見る。地蔵に笠を献納して無一文で帰る。大晦日の夜更けに地蔵が正月の餅や薪を運んできて,爺の家の前に積み上げていくと語られる。この昔話の筋は,大晦日訪れるとされる神の姿と重なるものであり,地蔵の笠は正月神のあかしの被り物(かぶりもの)ともみられている。

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大辞林 第三版の解説

かさじぞう【笠地蔵】

昔話の一。年越しの夜に、雪中の六地蔵に笠をかぶせてやった貧しい爺に、地蔵が米や金を持ってきてくれるというもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

笠地蔵
かさじぞう

昔話。親切を施した人が、思いがけない謝礼を得ることを主題にした致富譚(たん)の一つ。年の暮れに、爺(じじ)が、正月の買い物をするために、婆(ばば)の織った布を売りに行く。途中、道端の地蔵が雪をかぶっているのを見る。爺は、布を売った金で笠を買い、地蔵にかぶせて帰る。婆も喜ぶ。夜中に地蔵がお礼に金銀を持ってくる。爺と婆は、それでよい正月を迎えることができる。雨にぬれている観音に笠をかぶせてやった娘が幸せをつかむという話は、各地の寺院の縁起としても知られている。名古屋市南区笠寺町の笠覆寺(りゅうふくじ)は通称を笠寺といい、その縁起は、古浄瑠璃(こじょうるり)の『笠寺観音御縁起』(1677ころ)にもなっている。「竜宮童子」の昔話も、年の暮れに門松を海に投げ入れた人が、竜宮から、金を体から出すことのできる童子をもらう話であるが、「笠地蔵」にも、地蔵の体から米が出たという話がある。これらは、新年には異郷と一体化できるという観念を基盤にした説話である。年越しの夜に来訪者を親切にしたために富を得る昔話は、ほかにもある。泊めてやったみすぼらしい旅人が、元日の朝は金塊になっていたという「大歳(おおどし)の客」の昔話や、火種をもらうかわりに、棺桶(かんおけ)を預かったら、中身は金であったという「大歳の火」の昔話などがある。年越しの夜には神の巡遊があるという信仰を背景にした昔話で、「笠地蔵」の昔話も、笠を神仏に贈る親切の趣向が、年越しの夜の神巡遊の説話に結び付いたものであろう。この種の神の巡遊を主題にした昔話は、ヨーロッパではキリスト教的な宗教譚として発達しているが、非キリスト教地域の東アジアにも広がっている。[小島瓔

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世界大百科事典内の笠地蔵の言及

【笠】より

…昔話にみえる姿を隠す隠れ笠も同様であろう。また地蔵に笠をかぶせ福徳を得るという笠地蔵も,笠に一つの威力のあったことを示している。被り物【西垣 晴次】。…

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