英語のthe Fourth Estateの訳。国王(または聖職者)、貴族、市民(ブルジョアジー)に次ぐ第四の身分あるいは階級の意味で、広く第四番目の新興勢力を比喩(ひゆ)的に示すことば。しかし一般的には、ジャーナリスト、新聞、あるいは最近ではマスコミをさすことが多い。トマス・カーライルによれば、新聞を第四階級とよんだのはイギリスの思想家・政治家E・バークが最初といわれる。これと似た呼び方に、立法、司法、行政の三権に次ぐ「第四権力」あるいは「第四府」ということばもある。
[内川芳美]
『F・ウィリアムズ著、上原和夫・志賀正照訳『脅かす第四階級』(1958・有紀書房)』
新聞に対する別称。第四権力ともいい,今日では広くマス・メディア一般を指す。E.バークまたはマコーレーThomas B.Macaulay(1800-59)の言葉といわれ,新聞がその社会的影響力の増大により,貴族,僧職,市民の3階級につぐ第4の社会的勢力になったことを意味した。現在では,司法,立法,行政の三権に対する第4の権力と理解し,三権に対する監視役としての期待と,その強大な権力の乱用に対する批判の,両方の意味をこめて用いられる。このほかF.ラサールが《労働者綱領》(1862)で名付けたように,市民階級に続いて登場した労働者階級をこう呼ぶ場合もある。
執筆者:広瀬 英彦
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…また,イギリス植民地であったアメリカ東部では,トマス・ペインのパンフレットなどが独立運動の理論的な根拠となったほか,ベンジャミン・フランクリンのような多彩な文筆家が新聞によって自由と連合の実現を呼びかけた。ジャーナリズムが欧米において〈第四階級The fourth estate〉と呼ばれるのは,近世の絶対王政のもとで貴族,僧侶,富豪の三部会がにぎっていた政治の実権に対して,市民の権利を要求したのが印刷物による言論だったからである。 日本では,明治10年代の自由民権運動に呼応して民権派の新聞・雑誌が政治・社会批判をおこなったのが,ジャーナリズムの起りといえる。…
※「第四階級」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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