算用状(読み)サンヨウジョウ

デジタル大辞泉 「算用状」の意味・読み・例文・類語

さんよう‐じょう〔‐ジヤウ〕【算用状/散用状】

中世荘園年貢の収支決算書。結解状けちげじょう

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精選版 日本国語大辞典 「算用状」の意味・読み・例文・類語

さんよう‐じょう‥ジャウ【算用状・散用状】

  1. 〘 名詞 〙 中世の、数量計算結果を記入した文書。多く荘官荘園領主に提出する年貢・公事の収支決算書の意に用いられた。結解状
    1. [初出の実例]「如同所進惣地頭方年々加地子米散用状等者」(出典:肥前龍造寺文書‐嘉祿三年(1227)三月一九日・関東下知状)

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改訂新版 世界大百科事典 「算用状」の意味・わかりやすい解説

算(散)用状 (さんようじょう)

古代・中世,収支決算を公表するために作成された書類。多くの場合,荘園の年貢・公事等の収支決算や,寺院等の法会・諸行事の実施に関する経費の収支決算のため,実務担当者が毎年の年のはじめに前年の状況を報告する目的で作成した。荘園の年貢に関しては,現地から領主への報告のために,領主の代官と現地の荘官が作成し,領主へ注進するかたちをとっている。その記載事項は,基本的収納額と,それから控除することを認められた分,および現地での支出を計算したうえ,現納分と未進分を書きあげている。そして,収支決算報告をうけた領主側では,いわゆる監査手続をすることになっており,たとえば東寺の場合には,供僧の年預等数人によって,記載項目と数量・額を点検のうえ,朱筆合点と訂正を加え,勘定終了のしるしに花押連署し,かつ年預が紙継目裏花押を据えることになっていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「算用状」の意味・わかりやすい解説

算用状
さんようじょう

「散用状」とも書き、「結解(けちげ)状」ともいう。中世で、数量や計算の結果を記した文書をいうが、多くは荘園(しょうえん)年貢の収支決算書の意に用いられた。これは、在地の荘官が、その年の年貢や公事(くじ)の収納状況を荘園領主に報告するために作成した文書で、現地での支出の内訳、荘園領主への運上額を明記して送進された。なかには、河成(かわなり)などの荒田分や未進額・減免額などが詳細に記された長大で複雑な内容をもつものもある。

[久留島典子]

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百科事典マイペディア 「算用状」の意味・わかりやすい解説

算(散)用状【さんようじょう】

結解(けちげ)状ともいう。主に中世の荘園の年貢・公事などに関する年間収支決算報告書をいう。地下の算用状は年貢の未進・損亡などの増加によって多くなったとされる。
→関連項目船木田荘

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世界大百科事典(旧版)内の算用状の言及

【荘園】より


【日本】
日本の荘園についての従来の研究は大きく二つの潮流に分かれる。 第1は荘園を私的大土地所有の形態とみて,その内部構造を究明しようとする流れで,近代史学史の主流をなし,中田薫朝河貫一,牧健二らにより,西欧との比較を通して確立した見方である。ただ中田薫が荘園領主権を公法上の支配権とし,朝河貫一が荘園とマナーの相違を強調,牧健二が(しき)の官職的・公法的側面に着目するなど,西欧の封建制との違いにそれぞれ注目していることは見のがせない。…

※「算用状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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