中世,荘園や公領の田畠が天災・戦乱などの被害で不作となること。この時代は農業技術の未熟から作柄が不安定な耕地が多く,少々の自然災害で損亡が発生した。損亡となると百姓たちは損免として年貢減免を要求し,その結果,領主側が検見(けみ)を行い減免を実施するのが慣例となっていた。また損亡を認めさせるため百姓が一揆・逃散を敢行することも多かった。しかし鎌倉時代後期になると,農民の政治的成長と荘園支配の動揺によって,不作でもないのに損亡が主張されることもおこってくる。典型的なものが東寺領若狭国太良(たら)荘の例で,1304-06年(嘉元2-徳治1),連続して百姓らは領家東寺に申状を提出し,〈長日大旱魃〉〈大風大洪水〉などと最大級の形容詞をつけて年貢減免を要求している。これは,豊作にもかかわらず,東寺の支配が地頭側の圧力のため揺らいでいる状況をみてとった農民らによる,〈政治的損亡〉とされる。
執筆者:斉藤 利男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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