(読み)スズ

デジタル大辞泉 「篠」の意味・読み・例文・類語

すず【×篠/×篶】

スズタケ別名
「こよひ誰―吹く風を身にしめて吉野たけに月をみるらむ」〈新古今秋上
細い竹の子。すずのこ。
「彼より―を多くまうけたるを」〈著聞集一八

しの【×篠】

篠竹しのだけ」に同じ。
篠笛」の略。
紡績の中間過程で、不純物の除かれた繊維を長さをそろえて太いひも状にしたもの。

しぬ【×篠】

江戸時代万葉仮名の「の」の読みを「ぬ」と誤読してできた語》「しの1」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「篠」の意味・読み・例文・類語

しの【篠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (かん)が細く、群がって生える竹類。篠の小笹。篠竹。しぬ。しのべ。
    1. [初出の実例]「篠は、小竹なり。此をば斯奴(シノ)と云ふ」(出典:日本書紀(720)神代上)
  3. しのまき(篠巻)」の略。〔物類称呼(1775)〕
  4. しのかなもの(篠金物)」の略。
  5. しのぶえ(篠笛)」の略。
    1. [初出の実例]「合物(あはせもの)と言はんすは、篠笛(シノ)で御座んすか。尺八かえ」(出典:人情本・恩愛二葉草(1834)三)

篠の補助注記

と笹との相違は明確ではない。「小竹」の訓に関しても挙例の「書紀‐神代上」や、「小竹を訓みて佐々(ササ)と云ふ」〔古事記‐上〕とあるように、両方の訓みが可能なようである。「万葉集」の人麻呂詠歌や「人麻呂歌集」においては、篠を「細竹」、笹を「小竹」と書き分けているとする説もあるが、「小竹」の訓を「ささ」とする積極的根拠にはなり得ていない。


すず【篠・篶】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物すずたけ(篠竹)」の異名
    1. [初出の実例]「甲斐にをかしき山の名は、白根波埼塩の山、室伏柏尾山、すずの茂れるねはま山」(出典:梁塵秘抄(1179頃)拾遺)
  3. すず(篠)の子
    1. [初出の実例]「鞍馬寺の別当にて、かれよりすずをおほくもうけたるを、或人のもとへつかはすとて」(出典:古今著聞集(1254)一八)
    2. [その他の文献]〔俳諧・俳諧歳時記(1803)〕

しぬ【篠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 現在、「の」の甲類の万葉仮名とされている「怒」「努」「弩」などを「ぬ」とよんだところからできた語 ) =しの(篠)
    1. [初出の実例]「篠、小竹也。此れをば斯奴(しヌ)と云ふ」(出典:日本書紀(720)神代上(丹鶴本訓))

しの【篠・志野】

  1. 姓氏一つ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「篠」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 17画

(異体字)筱
13画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] しの・ささ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は條(条)(じよう)。條は細長い枝などをいう。修祓のとき束ねて用い、それで身を滌(あら)った。篠は條のように束ねて用いる草の意であろう。また脩は長く切ったほし肉で、長く細いものの意がある。〔説文〕五上に筱の字を録し、「(や)の屬なり。小竹なり」とあり、矢に用いるしの竹をいう。わが国では湯神楽(ゆかぐら)に小竹葉(ささば)を用いた。

[訓義]
1. しの、ささ、すず。
2. あじか、竹であんだかごの類。

[古辞書の訓]
和名抄〕篠 之乃(しの)。小竹、散々(ささ) 〔名義抄〕篠 シノ・ササ・アジカ 〔字鏡集〕篠 シノ・アジカ・ササ・アジロ

[語系]
篠(筱)syu、脩siuは声近く、小si、少sji、稍sheもその系統の音で、同じ語系とみてよい。

[熟語]
篠屋篠驂・篠竹・篠篠籬
[下接語]
寒篠・岸篠・巌篠・孤篠・香篠・細篠・弱篠・翠篠・清篠・篠・叢篠・束篠・竹篠・庭篠・篠・風篠・碧篠・萌篠・幽篠・篠・乱篠・緑篠

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動植物名よみかた辞典 普及版 「篠」の解説

篠 (シノ)

植物。イネ科の常緑竹,園芸植物。メダケの別称

篠 (ササ・シノ)

植物。イネ科タケササ類の小形の竹の総称

篠 (シノ・スズ)

植物。イネ科の竹。スズタケの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「篠」の意味・わかりやすい解説


しの

「スライバ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【篠笛】より

…歌舞伎の囃子や民俗芸能に用いられるが,かつては地歌(じうた)にも使用されたことがある。管は細い篠竹つまり女竹(めたけ)で作るが,肉が薄く皮の堅い竹が最上とされ,砂地の竹がその条件に合うため,房州や岐阜産のものが珍重される。竜笛や能管と異なり,竹をそのままの形で使用し,竹の割れを防ぐために,首部と尾部の先端だけを樺の皮で巻き,黒漆で塗り固める。…

※「篠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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