農林水産省設置法52条に基づいて,食糧庁の付属機関として設置されていた農林水産大臣の諮問機関。略称米審。農水大臣の諮問に応じて米価その他主要食糧の価格の決定に関する基本事項を調査審議し,およびこれに関して必要と認める事項を農水大臣に建議する。審議会委員の数は25人以内で,ほかに専門の事項を調査するため必要があるときは,専門委員を置くことができる。委員,専門委員は審議会の所掌事務に関し学識経験のある者のうちから,農水大臣が任命することになっているが,実際は生産者代表,消費者代表,中立委員としての学識経験者から構成され,現在ではおのおの5人,5人,15人という構成になっている。米価審議会の主要な議題は米および麦の政府買入価格(生産者価格),政府売渡価格(消費者価格)の審議であるが,とくに生産者米価は生産農民の利害,関心が大きいために,その決定をめぐる農業団体と政府・与党との激しいやりとりは,なかば年中行事化している。とくに米過剰の発生と厳しい財政事情のもとで,生産者米価が抑制されるようになってから,生産者側の不満が強く,米価審議会における審議もなかなかまとまらず,しばしば一本化した答申ができなかったり,生産者委員が審議をボイコットしたりする事態がみられる。米価審議会は米穀統制の歴史とともに古く,1921年の米穀法にさかのぼる。当時つくられた米穀委員会は,以後,33年の米穀統制法まで名称を変えながら続いた。第2次大戦後,49年に食糧管理法のもとでの米価審議会が発足した。これは法制上のものではなく,51年から経済安定本部の物価庁の付属機関として法制化されたが,52年から食糧庁に移管された。当時の審議会は国会議員をも含めて構成されていたが,68年からは国会議員は除かれた。米価の決定は米価審議会の審議を経るにしても,事実上は政府と与党自由民主党との折衝で決められており,米価審議会のなかからも審議会軽視という不満が起こるときもあった。食糧管理法に代わって1995年制定された食糧法のもとでも審議会は存続したが,その役割は備蓄用の政府米の価格に限られるため,重要性は低下した。2001年中央省庁等の改革に伴い廃止され,農林水産省の食料・農業・農村政策審議会に統合された。
→米価
執筆者:持田 恵三
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農林水産省組織令に基づいて食糧庁に設置されていた諮問機関。1999年(平成11)7月に成立した中央省庁等改革の一環として、新たに食料・農業・農村政策審議会が設置されるとともに、2001年1月に廃止された。米価審議会の審議は食料・農業・農村審議会の主要食糧分科会に引き継がれた。
米価審議会は農林水産大臣の諮問に応じ、米価その他の主要食糧の価格決定に関する基本事項の調査審議や必要事項について建議することが目的であった。1949年(昭和24)閣議決定により物価庁長官および農林大臣の諮問機関として発足し、1952年より食糧庁の所属となった。
委員は25名以内で、学識経験のある者のうちから、農林水産大臣が任命することになっていたが、実際には生産者代表、消費者代表、学識経験者代表によって構成され、生産者米価、消費者米価の決定に際して意見が対立し、答申不可能な事態もみられた。委員の任期は1年で、審議は非公開制であった。1994年に食糧管理法が廃止され、食糧法が施行されたことにより、審議会の役割は大きく後退していた。
[北出俊昭]
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[制度の変更]
食糧管理法の廃止(1995)までの食糧管理制度のもとでは,米は政府米と自主流通米(1969年産米から制度化)に分けられていた。政府米の場合は生産者価格は政府の買入価格であり,卸商へ政府が売る価格が売渡価格であって,いずれも毎年米価審議会の議を経て政府が決定する。生産者米価の算定方式は生産費および所得補償方式による。…
※「米価審議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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