日本大百科全書(ニッポニカ) 「系統学習」の意味・わかりやすい解説
系統学習
けいとうがくしゅう
問題解決学習に対する用語であり、知識、科学、技術などの体系化された教授内容を、一定の筋道に従って習得させようとする、教育課程の編成および学習指導の方法をいう。基本的には、子供の自発的な発展や経験の成長を教育と考える立場に対立し、客観的真理の実在を認め、知識、科学、技術などの客観的な文化遺産の伝達を教育と考える立場にたっている。
第二次世界大戦後、日本では、デューイらの経験主義教育理論にたつ問題解決学習が、新教育の中心理論として採用された。しかし子供の興味・関心や身近な生活経験を重視するあまり、現実適応主義に陥り、また基礎学力が低下するなどの問題点が指摘された。このような指摘や批判のなかから、科学的知識の系統的教授を重視する系統学習が提唱されてきたのである。
系統学習論には、教科内容編成の側面と教授・学習過程構成の側面とがあるが、重点は前者にある。すなわち、教科の系統の内容的根拠は科学の体系にあるというのが、教科内容論の第一義的指標である。しかし、これは原則であって、現実には、科学の体系によって教科の内容を編成するということは容易ではない。また教授・学習過程における教育的系統性を、科学的内容の系統性と子供の認識発達の系統性との統一において求めることが課題として残されている。
[伊東亮三]
『『広岡亮蔵教育学著作集第二巻 学習形態論』(1968・明治図書出版)』