改訂新版 世界大百科事典 「紀文大尽」の意味・わかりやすい解説
紀文大尽 (きぶんだいじん)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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長唄(ながうた)の曲名。1911年(明治44)初演。中内蝶二(なかうちちょうじ)作詞、吉住(よしずみ)小三郎(慈恭(じきょう))と杵屋(きねや)六四郎(稀音家浄観(きねやじょうかん))の共同作曲。歌詞の内容は、2代目紀之国屋(きのくにや)文左衛門が吉原で豪遊中に酔って眠り込み、初代が暴風雨のなかを江戸へミカンを運んだ夢をみ、父親の築いた巨額の富を使い果たしている自分に気づくが、夢から覚めてもふたたび遊興にふけるというもの。曲の冒頭の「嵐(あらし)の合方(あいかた)」は一下りという独特な調弦で、荒れ狂う海の不穏な情景を3本の糸の不安定な音程感で表し、標題音楽的な発想が感じられる。
[茂手木潔子]
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出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…このほか,幕府の鋳銭事業を請け負ったと伝えられるが,上記の秩父銅山見分は,その銅銭鋳造事業と無関係ではなかろう。日常生活は贅をきわめ,遊里吉原などでも豪遊したため紀文大尽と称せられたが,宝永末年か正徳のころ材木商を閉業し,深川一の鳥居付近に隠棲,晩年は微禄した。山東京伝の《近世奇跡考》(1804成立)によれば,俳諧を宝井其角に学び千山と号し,1734年(享保19)4月24日没,法名は帰性融相信士,深川霊巌寺塔頭の浄等院に葬られたという。…
…63年,吉住慈恭(じきよう)と改名。作曲には《鳥羽の恋塚》《醍醐の花見》などが,六四郎との合作には《紀文大尽(きぶんだいじん)》《神田祭》《お七》《みやこ風流》などがある。(5)5世(1908‐83∥明治41‐昭和58) 4世の子。…
※「紀文大尽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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