細入(読み)ほそいり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「細入」の意味・わかりやすい解説

細入
ほそいり

富山県中南部、婦負郡(ねいぐん)にあった旧村名(細入村(むら))。現在は富山市の南部西寄りを占める地域。旧細入村は1889年(明治22)成立。2005年(平成17)富山市に合併。神通(じんづう)川左岸段丘とその背後の山地を占め、岐阜県に接する。JR高山本線、国道41号、360号が通じる。古くから飛騨街道(ひだかいどう)が通じ、藩政時代には南部の猪谷(いのたに)に富山藩の関所が置かれた。旧村域は南北に細長く、庵谷(いおりだに)峠山地のトンネルで二分され南の地域は片掛(かたかけ)の安竜(あんりゅう)山大淵(だいえん)寺、猪谷の金剛山西禅寺を中心に曹洞(そうとう)宗徒が多く、北部の楡原(にれはら)は不忘(ふぼう)山上行(じょうぎょう)寺を中心に法華(ほっけ)宗徒が多い。農林業のほか観光にも力を入れている。ラッキョウの生産は県下有数。神通川第一、第二、第三のダムがあり、一帯は湖水化し神通峡県定公園に指定されている。「猪谷の背斜向斜」は国指定天然記念物。猪谷には猪谷関所館がある。

[深井三郎]

『『細入村史』上・下巻(1987~1989・細入村)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細入」の意味・わかりやすい解説

細入
ほそいり

富山県中部,富山市中南部を占め岐阜県に接する旧村域。飛騨山地神通川左岸に位置する。 1889年村制。 2005年富山市,大沢野町,大山町,八尾町,婦中町,山田村と合体して富山市となった。ほとんどが山岳地帯で,江戸時代には飛騨街道険路にあたり,飛越国境の要衝として猪谷に関所が置かれた。農林業が中心で,おもに米作が行なわれるが,ラッキョウなども産する。発電用の神通第一ダム,第二ダム,第三ダムがあり,発電所が多い。また,峡谷は神通峡県定公園に指定され,神通川左岸の断層面にある猪谷の背斜・向斜,横山楡原衝上断層は国の天然記念物。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android