猪谷(読み)いのたに

日本歴史地名大系 「猪谷」の解説

猪谷
いのたに

神通川左岸にある中世の郷村。婦負郡楡原にれはら保の内。応永二一年(一四一四)二月の仁和寺雑掌申状案(仁和寺文書)には「猪谷・菅寺両村」と記される。京都仁和寺領の村であると主張し、斎藤国則が両村を押領したと訴えている。南北朝期までの楡原保は国衙領で、その開発領主職は国衙在庁官人の系譜を引く小井出一族や甕氏の手にあり、猪谷村は甕庶子分を継いだ窪寺小次郎、菅寺かんでら村は甕十郎が支配していたが、反足利尊氏行動を展開した越中守護桃井直常にくみしたため所領を没収され、文和年中(一三五二―五六)勲功の賞として斎藤常喜に給されていたという(年月日未詳「斎藤国則訴状案」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「猪谷」の意味・わかりやすい解説

猪谷
いのたに

富山県中部,富山市中南部の旧村域。1889年近隣 8村と合体して細入村となり,2005年富山市,大沢野町,大山町,八尾町,婦中町,山田村と合体して富山市となった。飛騨街道の飛越国境の要衝として江戸時代には関所が置かれた。大正期以降の神通川の電源開発,高山本線開通,国鉄神岡線との接続,国道41号線の整備などにより,神通川河谷地域の中心地区として発展した。付近には猪谷川にかかる常虹の滝,旧街道が宮川を渡る籠渡し跡,猪谷関跡などがある。また,地層褶曲による猪谷の背斜向斜は国の天然記念物。

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世界大百科事典(旧版)内の猪谷の言及

【細入[村]】より

…神通川中流西岸にあり,飛驒高地北縁部の山地にある。飛驒街道(現,国道41号線)の難所で,江戸時代には猪谷(いのたに)に富山藩の関所が置かれていた。楡原(にれはら)を中心とする北部は日蓮宗が,猪谷を中心とする南部は禅宗が盛んで,地域性がみられる。…

※「猪谷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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