六訂版 家庭医学大全科 「細菌性急性胃腸炎」の解説
細菌性急性胃腸炎
さいきんせいきゅうせいいちょうえん
Acute bacterial gastroenteritis
(子どもの病気)
どんな病気か
原因は何か
カンピロバクター(ブタ肉、トリ肉)、サルモネラ(タマゴ、トリ肉など)、病原性大腸菌(牛肉など)、腸炎ビブリオ(カキなどの魚介類)、黄色ブドウ球菌(おにぎり)などの細菌感染が原因になります。いずれも、食べ物が十分に調理されていない時や、料理人の手洗いがきちんとなされていない際に感染します。これらの細菌が、腸粘膜に付着・侵入したり、細菌が出す毒素の影響などで腸管粘膜に炎症が起きます。
感染者の多くは成人とほぼ同じ内容の食事(とくに外食をしたり、店で買った惣菜など)を食べる年齢の子どもです。家庭で作った離乳食を食べている乳児や、母乳だけを飲んでいる赤ちゃんには起こりにくい病気です。
症状の現れ方
ほとんどが腹痛、発熱、血便で始まります。細菌性の胃腸炎は腹痛が比較的強く、腸の動きが悪くなって腹部が
便には血液、粘液、うみなどが混じります。
ベロ
検査と診断
同じ物を食べた者同士に症状が認められれば、細菌感染の可能性が高くなります。便検査ならびに便培養検査を行い、出血の有無と原因細菌の特定を行います。
治療の方法
細菌感染が原因の急性胃腸炎では、年長児では下痢による自然除菌も期待できますが、乳幼児では発熱など全身症状も強く、
一方、ビフィズス菌などのプロバイオティクスや、これらを増やす作用の菌製剤は、病原細菌の増殖を抑えるはたらきがあり、治療によく用いられます。脱水に気をつけ、水分補給をこまめに行います。
病気に気づいたらどうする
サルモネラなどは、症状がよくなってからも菌が便中から検出されることが多く、再感染源になります。したがって、一度診断されたら定期的に便培養を行い、除菌を確認することが必要です。また、病原性大腸菌感染後は、黄疸、血尿、あざや関節痛の出現に十分注意してください。
大塚 宜一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報