デジタル大辞泉 「紹興酒」の意味・読み・例文・類語
しょうこう‐しゅ〔セウコウ‐〕【紹興酒】
[類語]酒・
中国で最も著名な醸造酒。杭州湾南岸の浙江省紹興に産するもので,戦国時代以来の2000年の歴史をもつとされる。原料の精白したもち米を,20日間近くも水に浸漬(しんし)して野生細菌で酸敗させ,そこにできた酸性の水(漿水(しようすい))を仕込み水にするという変わった製法を用いる。こうじは小曲(シアオチユー)(酒薬),大曲(ターチユー)の2種を使い,初めは小曲,あとで大曲を加える。仕込みにはふつう500l入りのかめを用い,数十日におよぶ発酵ののち圧搾,ろ過,清澄し,火入れを行って20lほどのかめに詰めて陶製のふたをし,泥で固めて密封し,貯蔵庫に移して熟成させる。製品は,火入れ時に熱変性したタンパク質が滓(おり)になって沈殿していることが多い。
紹興酒にはいくつかの種類がある。標準品というべきものが元紅酒(ユワンホンチユウ),それよりも50%程度原料米を多く用いた濃醇(のうじゆん)なものが加飯酒(チアフアンチユウ),紹興酒のかすからとった焼酒(焼酎)を仕込み水の一部に使った甘い香雪酒(シアンシユエチユウ),仕込み水の代りに3年以上陳醸(熟成)の元紅酒を使った,ぜいたくな酒を善醸酒(シヤンニアンチユウ)という。また,表面に厚くセッコウを塗り,それに精細な彫刻を施し,多彩に着色したつぼに入れた花彫酒(ホワテイアオチユウ)や,生まれた女児が嫁入りするまで地中に埋めて陳醸する女児酒(ニユーアルチユウ)も,品質的には加飯酒である。中国では,1979年の第3回全国評酒会議において加飯酒は〈全国名酒〉に,善醸酒は〈全国優質酒〉に認定されている。なお,中国以外の国でも紹興酒に似た黄酒がつくられ,それが紹興酒の名で売られている。
→中国酒
執筆者:鈴木 明治
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… 紹興は,杭州の大運河の起点よりさらに東にのびる寧波(ニンポー)運河の中間にあたり,寧波が南海との交易で栄えたときには,その交通の要衝として発展し,また前面の沖積湿地を開発することで得られた水田や江海からの農水産物の産出,古い伝統をもつ手工芸などにより,明・清時代を通じて,杭州,寧波と並ぶ都市となった。特産品として,付近で産する良質の米と水から醸造される酒(紹興酒,老酒)が世界的に有名。また上記の禹に関する遺跡,王羲之の蘭亭遺跡など観光地も多い。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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