経木(読み)きょうぎ

百科事典マイペディアの解説

経木【きょうぎ】

木材を薄く削ったもの。(かんな)の発達によって江戸時代末期には紙のように薄い薄経木が登場し,食品の包装などに使用。やや厚めの厚経木曲物(まげもの)などに使用される。ヒノキスギなどが多く使用され,真田紐(さなだひも)のように編んだ経木真田は,かぶり物,籠(かご)などの材料として,明治後期ごろから欧米向けの重要な輸出品であった。昔これに経文を書いたのでこの名が出たという。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうぎ【経木】

スギ,ヒノキ,その他の木材を薄く削りとったもの。つまり,〈へぎ〉〈へぎ板〉の別称として現在では用いられているが,元来は〈へぎ〉の用途上の呼称の一つであった。〈へぎ〉の語は〈剝(へ)ぐ〉という動詞の名詞化したもので,〈片木〉〈折〉などと書く。きわめて古くから行われていたもので,適宜の長さに輪切りにした原木をなたで割り,それを〈へぎなた〉などと呼ぶ刃物で薄く削りとった。それをそれぞれ便宜の寸法にし,屋根板に使ったものが柿(こけら)である。

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大辞林 第三版の解説

きょうぎ【経木】

スギ・ヒノキなどの板を、紙のように薄く削ったもの。物を包んだり手工業の材料にしたりする。鉋掛かんなかけ。
経文を書く幅25センチメートルほどの薄い板。鎌倉末期より行われ、寺へ納めて死者の追善とした。

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食器・調理器具がわかる辞典の解説

きょうぎ【経木】

杉・(ひのき)などの木材を紙のようにうすく削ったもの。料理や食品を包むのに用いる。◇古く、経文を記すのに用いたことから。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経木
きょうぎ

スギやヒノキ、マツなどの木材を、紙のように薄く削ったもの。菓子やみそ、魚などの食品を包んだり、折り箱の底に敷いたりして用いる。古くは経文を書写したことからこの名があり、かんなかけ(鉋掛)、へぎ(折、片木、剥)、また幅の広いものはうすいた(薄板)ともいう。元来は折り箱や折盆(へぎぼん)、あるいは折敷(おしき)などの用法が一般的であったが、1852年(嘉永5)に宮嶋勘左衛門(みやじまかんざえもん)によって、枇木(ひぎ)とよばれる包みものに便利な薄経木が開発されてからは、前者を厚経木として区別している。用材としては、色が白く、繊維が強くて年輪のそろった樹木が適しているが、なかでもドロノキやタカノツメ(ともに箸(はし)やマッチの軸木にも用いる)が称美されている。現在では産出量の面から、エゾマツ、アカマツ、トドマツ、カラマツなどが主流を占める。なお、経木を材料に用いたものとしては、木曽(きそ)の檜笠(ひのきがさ)、高知の土佐笠などの工芸品のほか、兵庫のマッチなどがよく知られる。ことに経木真田(さなだ)といって、経木を細く切って真田紐(ひも)のように編んだものは、夏帽子などの製品となって海外にも輸出され、経木産業の振興の一因ともなった。また縦糸に綿糸、横糸に経木を用いた経木織物は、襖張(ふすまはり)地や座ぶとん地に用いられ、和紙などを貼(は)り付けた経木紙は、折り箱の材料として普及している。[宮垣克己]
『田中信清著『経木』(『ものと人間の文化史37』1980・法政大学出版局)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

きょう‐ぎ キャウ‥【経木】

〘名〙
① 鎌倉時代より、追善供養や逆修のために、杉などを薄く削った木片に経文を記したもの。(こけらきょう)
※実隆公記‐享祿元年(1528)閏九月二日「法花経経木百五十把到来」
② 杉、檜などを長方形に薄く削ったもの。元来①に用いたが、のち、菓子、魚などを包んだり、舟などの形にして食品を入れたりするのに用いるようになった。かんなかけ。へぎ。〔運歩色葉(1548)〕
※読本・椿説弓張月(1807‐11)残「太山樒(みやましきみ)を伐とりて、九本の経木(キャウギ)を削作(けづりな)し」
③ 読経の時に打つ拍子木。音木(おんぎ)
[語誌](1)嘉永五年(一八五二)、現在一般に経木といわれる食品を包む薄経木が考案される。食品の包装には、それまで竹(マダケ)の皮が用いられていたが、嘉永四年関東一円で竹皮の不足が生じ、これを契機に武州月輪の宮嶋勘左衛門が竹皮の代用品として作り始めたのが薄経木の始まりで「枇木(ひぎ)」という名称で売り出された。
(2)薄経木という名称が確立するまで、呼称はできた土地で思い思いにつけられたのでまちまちであった。例えば、東京「経木(きょうぎ)」、群馬「経木(へぎ)」、栃木「木皮(きっかわ)」、岩手「径木(けいぎ)」、秋田「べら」、青森「鉋殻(かんながら)」、北海道「薄皮(うすかわ)」等である。薄経木という名称は、長野県で昔から折箱の材料を作っており、後から包み経木を作った時、区別するために厚と薄といったのが始まり。

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