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経済法 ケイザイホウ

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デジタル大辞泉の解説

けいざい‐ほう〔‐ハフ〕【経済法】

資本主義の進展に伴い、市場経済の自律的な機能が果たせなくなってきたことに対応して、市民法原理を修正し、国家が市場経済秩序に直接介入する国家的規制の法の総称。

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百科事典マイペディアの解説

経済法【けいざいほう】

資本主義経済の高度の発達の結果生じた諸弊害を克服するため,国家権力によって経済活動の自由を規制する法規の総称。明確な定義はなく諸説がある。独占禁止法はじめ諸種の経済統制法をいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

けいざいほう【経済法】

〈経済法Wirtschaftsrecht〉という用語は,第1次大戦ごろからドイツで使用されるようになったものであるが,当時は,〈経済統制法〉ないし〈統制経済法〉を意味していた。第1次大戦中,物価統制,配給統制など,私企業の活動に対して政府が統制を加える目的から,多くの統制法規が制定され,これらにより国民経済の重要部分が国の統制に服することとなったが,これらの経済統制法規を総称して〈経済法〉とよんだのである。

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大辞林 第三版の解説

けいざいほう【経済法】

経済秩序を規律する一切の法の総称。資本主義経済の発展に対応した諸々の経済統制立法を説明するために、第一次大戦後ドイツで案出された概念。日本の独占禁止法などの類。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経済法
けいざいほう

国民経済の安定と発展を図るため、国家が国民経済に干渉することを目的とした法律の総称であり、日本において経済法という名称の法律が存在するのではない。経済法は講学上の呼称であり、実質的に経済法を代表する独占禁止法をいいかえて用いられることも多く、とくに書名や大学等の講義名の場合にはその傾向が強いので注意が必要である。
 本来、資本主義社会においては、アダム・スミスの思想である「見えざる手」に象徴されるような市場の自動調節作用が機能し、商品価格や生産量は市場における需要と供給のバランスにより決定されると考えられていた。このような資本主義の機能が有効に作用すれば、国家は民法、商法などの私人間における紛争解決ルールの整備と刑法などを通じた治安維持を行えばよいことになる。すなわち、国家の役割は最小限の治安と国防にとどめ、国民の経済活動には介入しないことをよしとする、「夜警国家」である。
 ところが、アメリカにおいては、資本主義の急速な発展に伴い市場を独占する企業が誕生し、自動調節作用は万能でないことが証明された(市場の失敗)。そのため、企業による市場の独占、カルテルを禁止し公正な競争を確保する政策の必要性が認識され、1890年シャーマン法(反トラスト法)の制定に至った。一方で、ドイツや日本では第二次世界大戦期において軍事産業に国民経済を集中させる目的から、戦時経済統制政策としてさまざまな法律が制定された(重要産業統制法、国家総動員法など)。各国の政策の背景と目的は異なるが、いずれにせよ国家が国民経済に直接干渉するには法律的根拠が必要であり、このような法律を経済法と総称していた。
 日本においては、第二次世界大戦後にGHQ(連合国最高司令官総司令部)の指導の下、戦時経済を統制する目的の法律は廃止され、反トラスト法を手本として、市場の独占、カルテル、不公正な取引方法を禁じ、企業間の公正な競争を確保することを目的とした独占禁止法(1947)が制定された。しかし、競争秩序を維持する法律だけでは戦後の疲弊した経済の復興や、構造不況からの脱却は困難と考えられ、産業界を保護、育成するための経済政策の根拠となる経済法(輸出入取引法、産業構造転換円滑化臨時措置法、中小企業金融円滑化法など)も多く制定されている。また、ガット(GATT=関税および貿易に関する一般協定)やそれを引き継いだWTO(世界貿易機関)などの国際ルールを反映して制定された各種の国内通商法(関税法、関税定率法など)や、消費者保護を目的とした諸法も経済法に属する法律と考えられ、経済法の範囲は非常に広くとらえられるようになる。
 近時では、日米構造協議(1989)を発端として、日本の企業間における流通・取引慣行に対する批判が高まり、独占禁止法の役割が再認識され規定・運用が強化されている。また、従来は公益事業として独占が認められていた電気、電気通信分野などにも規制緩和政策により競争原理が導入され、発電、売電の自由化に伴う既存電力会社のネットワークの解放や、電気通信分野の競争促進を目的として、日本電信電話株式会社(NTT)などの既存会社が保有している回線への接続を確保する各事業法(電気事業法、電気通信事業法など)が整備されるなど、新たな政策も推進されており、競争秩序の維持、促進の役割を担う経済法への期待が高まっているといえよう。[金津 謙]
『松下満雄著『経済法概説』第2版(1995・東京大学出版会) ▽正田彬著『経済法講義』(1999・日本評論社) ▽日本経済法学会編『経済法講座1 経済法の理論と展開』(2002・三省堂) ▽谷原修身著『新版 独占禁止法要論』第2版(2010・中央経済社) ▽根岸哲・杉浦市郎編『経済法』第5版(2010・法律文化社)』

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