緊急時避難準備区域(読み)キンキュウジヒナンジュンビクイキ

デジタル大辞泉の解説

きんきゅうじ‐ひなんじゅんびくいき〔キンキフジヒナンジユンビクヰキ〕【緊急時避難準備区域】

平成23年(2011)3月に発生した福島第一原発事故に伴い、政府が住民に対して、いつでも屋内退避や避難が行えるように準備をしておくことを求めた区域。福島県広野町楢葉町川内村、および田村市南相馬市の一部のうち、福島第一原子力発電所から半径20キロメートル圏外の地域。原子力災害対策特別措置法に基づいて4月22日設定され、9月30日に解除された。→計画的避難区域

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

緊急時避難準備区域

東京電力福島第一原発から20~30キロ圏内で、大量の放射性物質の放出などに備えて、屋内退避や避難の準備をしておくよう求められた地域。対象は福島県の広野町全域と、南相馬市、田村市、川内村、楢葉町のそれぞれ一部地域の計5市町村。原子力災害対策特別措置法に基づき政府が2011年4月22日に設定し、子どもや妊婦、要介護者らの立ち入り自粛を求めた。11年9月30日に区域を解除され、翌12年8月には住民1人あたり10万円の慰謝料も打ち切られた。

(2013-10-01 朝日新聞 朝刊 3社会)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

緊急時避難準備区域
きんきゅうじひなんじゅんびくいき

2011年(平成23)3月11日の東北地方太平洋沖地震により発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、2011年4月22日から同年9月末まで子供、妊婦、要介護者らに退避を要請した地域。住民の生命・身体の危険を防ぐため、立入りを原則制限・禁止した避難指示区域の一つである。事故後も福島第一原発から放射性物質が漏れる緊急事態が想定されたため、政府は原子力災害対策特別措置法に基づき、住民に対し、いつでも屋内退避や別の場所への避難ができるように準備を求めた地域である。福島第一原発から半径20~30キロメートル圏内のうち、1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するおそれがあった計画的避難区域に該当しない地域をさした。具体的には、福島県の広野(ひろの)町(全域)、楢葉(ならは)町(福島第一原発から半径20キロメートル圏内を除く全域)、川内(かわうち)村(同)と田村市の一部、南相馬(みなみそうま)市の一部が該当し、約6万人の住民が対象となった。同区域内では、避難準備をしていれば日常生活や事業活動をすることは可能であったが、自力避難が困難な子供、妊婦、要介護者、入院患者らについては区域へ立ち入らないよう要請した。このため区域内の保育所、幼稚園、小中学校、高校は休園・休校となり、子供といっしょに避難する家族などが多く、同区域内の人口のほぼ半数にあたる約2万8000人が区域外へ避難した。
 政府は2011年9月末、福島第一原発からの放射性物質放出をほぼ管理できるようになったとして緊急時避難準備区域を解除した。2012年8月には住民一人当り月10万円を支給していた東京電力の精神的損害賠償(慰謝料)が打ち切られた。区域内の自治体は帰還を促すため小中学校の授業再開、企業誘致、集合住宅の整備などを進めたが、原発への不安をぬぐい去ることができないことから、解除から5年半を経過した2017年3月末時点でも、域内市町村の人口は事故前の8~9割程度にとどまっている。また緊急時避難準備区域内の住民の一部は、他の避難指示区域との賠償額に格差があるとして国や東京電力を相手取って裁判を起こした。[矢野 武]

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