家庭医学館 の解説
ろうかにともなうけつえきのびょうきとしょうじょう【老化にともなう血液の病気と症状】
血液の病気のなかには、老人になってからおこりやすい病気があります。
たとえば、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)(「多発性骨髄腫」)はお年寄りになってからおこる病気で、65歳前後で発症する割合が多くなっています。また、慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)(「慢性白血病」の慢性骨髄性白血病)もお年寄りの病気で、若い人におこることはきわめてまれです。悪性(あくせい)リンパ腫(しゅ)(「悪性リンパ腫」)も、その50%はお年寄りにおこります。そのほか、急性白血病(きゅうせいはっけつびょう)(「急性白血病」)、前白血病状態といわれる骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)(「骨髄異形成症候群」)も年齢が高くなるほどおこりやすくなります。
ただし、高齢になれば、誰でもこれらの病気になる危険があるというわけではありません。
これらの病気は頻度が低く、お年寄りの病気全体のなかに占める割合は、4~5%程度といわれています。
◎血液の病気と特徴
●多発性骨髄腫の症状と特徴
骨の痛みと全身倦怠(けんたい)を訴えることが多いものです。とくに腰痛(ようつう)、胸痛(きょうつう)、背部痛(はいぶつう)が多くなっています。
●慢性骨髄性白血病の症状と特徴
発病初期は無症状で、健康診断の血液検査などをきっかけとして発見されることが多いものです。
病気はゆっくりと進行し、発症から6~7年経過すると、疲れやすい、体重減少、腹部の張った感じ、上腹部の不快感、寝汗(ねあせ)、脾臓(ひぞう)の腫(は)れなどがおこってきます。
●急性白血病の症状と特徴
発熱などのかぜのような症状で診察を受け、血液検査で貧血(ひんけつ)が見つかり、その後の精密検査で急性白血病が発見されることがあります。
健康診断などの血液検査がきっかけとなることもあります。
●骨髄異形成症候群の症状と特徴
骨髄異形成症候群では、症状はないか、あっても軽い貧血の症状(貧血とはの「貧血の症状」)のことが多いものです。
●悪性リンパ腫の症状と特徴
頸部(けいぶ)などの痛みのないリンパ節の腫れで気づかれることが多いものです。
●貧血の症状と特徴
鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)(「鉄欠乏性貧血」)がもっとも多いのですが、肺炎などの原因となる病気があっておこる二次性貧血(にじせいひんけつ)(「二次性貧血(続発性貧血/症候性貧血)」)、腎臓(じんぞう)の機能低下でおこる腎性貧血(じんせいひんけつ)(コラム「腎性貧血」)、葉酸欠乏性(ようさんけつぼうせい)の貧血、ビタミンB12欠乏性の貧血などがおこることもあります。
だるさ、寒さを人一倍感じやすい、階段や坂をのぼるときの動悸(どうき)や息切れなどが貧血の代表的な症状ですが、お年寄りの場合、自分で感じることは少ないようです。ぼーっとしていて、元気がないという状態が、お年寄りの貧血の症状のことがあります。
●播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(DIC)の症状と特徴
播種性血管内凝固症候群(DIC)では、出血傾向(出血しやすい)のほか、血栓(けっせん)の発生した部位によって、さまざまな臓器不全の症状が出ます(「播種性血管内凝固症候群(DIC)」)。