六訂版 家庭医学大全科 「肝腫瘍」の解説
肝腫瘍
かんしゅよう
Hepatic tumor
(子どもの病気)
どんな病気か
肝臓に発生する腫瘍です。原発性のものと転移性のものがあり、原発性のものは
5歳未満の
原因は何か
肝芽腫は、1歳をピークに乳幼児に発症する病気で、
成人型の肝細胞がんは、成熟した肝細胞ががん化したもので、10歳前後の年長児に多く発症します。
症状の現れ方
肝芽腫は乳幼児に多いことから、症状を訴えることはまれで、腹部
進行すると発育不全や栄養障害、体重増加不良などを認めます。哺乳力の低下、不機嫌、発熱などの症状が続く場合は注意します。転移病巣における四肢の痛み、リンパ節の
検査と診断
肝芽腫および肝細胞がんのいずれも、血液検査で
画像診断では超音波、CT、MRIなどの検査が有用で、腫瘍の大きさや
区別すべき病気には、
治療の方法
原発性悪性肝腫瘍は、可能なかぎり手術で切除し、その後、抗がん薬を用いた化学療法を行います。切除不能な場合は、まず化学療法を行って腫瘍を小さくしたあと、手術を行う場合もあります。肝芽腫の大多数は、化学療法に対する感受性があるので、適切な化学療法を行って再発を予防していくことが大切です。
病気に気づいたらどうする
腹部腫瘤が疑われたら、小児科医に相談してください。手術後は、定期的なAFPの測定や超音波検査を受ける必要があります。
大塚 宜一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報