(読み)な

精選版 日本国語大辞典 「肴」の意味・読み・例文・類語

な【肴】

〘名〙 鳥獣の肉、魚介野菜類など副食物とするものの総称おかず
古事記(712)中・歌謡前妻(こなみ)が 那(ナ)乞はさば 立柧棱(たちそば)の 実の無けくを 扱(こ)きしひゑね」

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デジタル大辞泉 「肴」の意味・読み・例文・類語

こう【肴】[漢字項目]

人名用漢字] [音]コウカウ)(漢) [訓]さかな
煮炊きした魚肉。副食物。「佳肴酒肴珍肴

な【×肴】

鳥獣の肉や魚介・野菜など、酒・飯に添える副食物の総称。おかず。
後妻うはなりが―乞はさばいちさかき実の多けくを」〈・中・歌謡〉

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改訂新版 世界大百科事典 「肴」の意味・わかりやすい解説

肴 (さかな)

古く日本では鳥獣肉,魚貝,蔬菜(そさい)など副食物とする物すべてを〈な〉と呼んだ。〈さかな〉は〈酒のな〉の意で,酒を飲むときに添える食物をいい,これに〈肴〉の字をあてる例は《常陸風土記》あたりから見られる。さかなは酒肴,肴物ともいった。さかなとして供された食物の種類は多岐にわたるが,室町期までは干物(からもの),削物(けずりもの)などと呼ばれた魚貝類の乾燥品が多かった。しかし,1136年(保延2)12月に藤原頼長が催した大饗(だいきよう)のように,蒸しアワビキジの乾肉以下の干物8種,コイ,キジ,マス,スズキ,タイを含む生物8種その他といった例もある。やがて,さかなの語は食物だけでなく,酒席に興を添えることをも指すようになる。鎌倉初期あたりには,酒宴がたけなわになると簡単な料理ショーを行うことがあったようで,《古今著聞集》には〈柚をきることは盃酌至極のときの肴物也〉と見える。のちの包丁式はこうしたショーの形を整えたものである。歌舞隠し芸を行うこともさかなと呼ぶようになり,〈肴舞(さかなまい)〉の語も生まれた。現在でもおせち料理にはめでたい食物としてかちぐり,ごまめ,かずのこ,コンブなどを用い,これを祝肴(いわいざかな)などと称するが,こうした風習は式肴といって,武家時代に重視されたものであった。室町将軍家の料理方であった大草家の伝書には,出陣のときのさかなは〈打って勝って喜ぶ〉と,のし(打ちアワビ),かちぐり,コンブを組み合わせることが書かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肴」の意味・わかりやすい解説


さかな

酒に添えるものの総称。古くは服飾品や武器などが引出物として酒に添えられた。江戸時代中期以後,宴会料理の発展に伴って食品が主となり,酒との釣合いから一般に魚類をさすようになった。また酒席の座興になる話題や歌舞のこともいう。

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デジタル大辞泉プラス 「肴」の解説

松下育男の詩集。1978年刊行。1979年、第29回H氏賞受賞。

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