(読み)ヨモギ

デジタル大辞泉 「艾」の意味・読み・例文・類語

よもぎ【×艾/×蓬】

キク科ヨモギ属多年草山野に生え、高さ約1メートル。よく分枝し、特有の匂いがある。羽状に切れ込みのある葉が互生し、裏面に白い毛が密生。夏から秋、淡褐色の小花を多数つける。若葉を摘み、草餅くさもちなどを作り、餅草もちぐさともよぶ。漢方では艾葉がいようといい止血などに用い、葉の裏の毛をもぐさにする。ヨモギ属にはカワラヨモギオトコヨモギヤマヨモギなども含まれる。 春》「―えおほばこの葉も遅速なく/汀女
かさねの色目の名。表は萌葱もえぎ、裏は濃い萌葱、または表は白、裏は青。

も‐ぐさ【×艾】

《燃え草の意》
ヨモギの葉を干し、臼でついて作る綿状のもの。きゅうを据える際に燃やす材料。焼き草。
ヨモギ別名
艾縞もぐさじま」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「艾」の意味・読み・例文・類語

よもぎ【艾・蓬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. キク科の多年草。本州、四国、九州の山野に普通に生える。高さ〇・五~一メートル。全体に芳香があり、よく分枝する。葉は羽状に裂け、裂片は披針形、裏面に白い綿毛を密生する。秋、黄褐色の小さな頭状花を円錐状に多数つける。新苗をつんで餠に入れ、また葉裏の綿毛で灸療治用の「もぐさ」を製する。よもぎの仲間は、カワラヨモギ、タカネヨモギ、クソニンジン、オトコヨモギ、イヌヨモギなど日本に三〇種ほどあり、海岸から高山にまで広く分布する。漢名、艾。もぐさ。もちぐさ。さしもぐさ。つくろいぐさ。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「あやめ草 余母疑(ヨモギ)かづらき 酒宴(さかみづき) 遊びなぐれど」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一六)
  3. (かさね)の色目の名。表は萌葱(もえぎ)、裏は濃い萌葱、あるいは表は白、裏は青。五月に用いる。
    1. [初出の実例]「ことさらに昌蒲の衣を皆打ちて、撫子の織物の表著、よもぎの唐衣、楝の裳なり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)根合)
  4. 香木の名。〔新札往来(1367)〕

も‐ぐさ【艾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物よもぎ(艾)」の異名。《 季語・春 》 〔日本一鑑窮河話海(1565‐66頃)〕
  3. の葉で製した、灸点(きゅうてん)に用いるもの。ヨモギの葉を乾燥させてもみ、葉の裏の白毛をとって、綿のようにしたもので、これを細かくちぎって火をつける。
    1. [初出の実例]「やいとうのもぐさ如何。熟艾とかけり」(出典:名語記(1275)八)
  4. もぐさじま(艾縞)」の略。
    1. [初出の実例]「すいのうは艾味噌越し小弁慶」(出典:雑俳・柳多留‐一三三(1834))

かい【艾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 頭髪が艾(よもぎ)のように白くなるところから ) 五〇歳。一説に、七〇歳。艾年(かいねん)
    1. [初出の実例]「凡そ人の幼といひ、弱といひ、壮といひ、強といひ、艾といひ、耆(き)といひ、老といひ、耄(ばう)といふ、其称同じからねど、ただその年の積れるにて、異なる人にはあらず」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)下)
    2. [その他の文献]〔礼記‐曲礼上〕

えもぎ【艾・蓬】

  1. 〘 名詞 〙よもぎ(艾)
    1. [初出の実例]「ゑもぎ、むぐらは軒をあらそひて」(出典:御伽草子・あきみち(室町末))

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動植物名よみかた辞典 普及版 「艾」の解説

艾 (ヨモギ・エモギ;モグサ;ヨゴミ;ヨムギ)

学名Artemisia princeps
植物。キク科の多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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