花会(読み)ハナカイ

デジタル大辞泉 「花会」の意味・読み・例文・類語

はな‐かい〔‐クワイ〕【花会】

《「はながい」とも》
職人博徒などが知人から金を得るために回状をまわして催す会。
小唄浄瑠璃踊りなどの名広めの会。

か‐かい〔クワクワイ〕【花会】

生け花の会。

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精選版 日本国語大辞典 「花会」の意味・読み・例文・類語

はな‐かい ‥クヮイ【花会】

〘名〙
① 唄、浄瑠璃、踊りなどの名びろめの会。
談義本・当風辻談義(1753)二「要大夫が花会(ハナクヮイ)
② 職人や幇間(ほうかん)・博徒などが、知人から金をつのるために、回状を回して催す会合
黄表紙・夢中の印噺(1780)「我々顔の売れたを幸ひ、花会(ハナクヮイ)を催しなばよからんと相談して」

か‐かい クヮクヮイ【花会】

〘名〙 いけばなの会。花の会。
内外新報‐明治二〇年(1887)二月一八日「書画会とか〈略〉花会と称するもの迄も干渉する条例を制定し」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花会」の意味・わかりやすい解説

花会
かかい

現代では、いけ花の展覧会のことをいう。古くは平安時代の貴族の遊びとしての「花合(はなあわせ)」も花会とよばれた。室町時代応仁(おうにん)の乱以後の「花立ての連歌」(『御湯殿上日記(おゆどののうえにっき)』明応(めいおう)9年〈1500〉12月3日)や「花の連歌」(『同日記』同10年正月23日)において、「花合」の優劣を競い合ったのも花会と称している。また六角堂頂法寺や本願寺系で行われた七夕(たなばた)会の立花(りっか)が、江戸時代になって社交的な遊びとなり、やがて花を中心とした立花会の成立を促し、今日の展覧会に近い花会となった。そのなかでも、1599年(慶長4)の池坊専好(いけのぼうせんこう)を主とする、京都大雲院の百瓶(ひゃっぺい)会、1629年(寛永6)の後水尾(ごみずのお)天皇主催の大立花会などが知られている。立花からより簡略な生花が生まれ、生花諸流がおこると、一流一派の示威のため花会はいっそう盛んとなり、明和(めいわ)(1764~72)、文化・文政期(1804~30)には「近ごろ生花はやりだして日々の会酒楼をふさぐ」(『当世垣のぞき』)と述べられるように、料亭や茶屋を会場にしてはでに開かれるようになった。明治維新による変革の風潮のなかで、花会は寺社の祭礼の奉納ぐらいに退いたが、盛り花という新様式の台頭とともに盛況を取り戻し、1912年(明治45)に、大阪三越(みつこし)百貨店において開かれた小原(おはら)式国風盛花展を嚆矢(こうし)として、商業資本と花会との結び付きは密接となり、百貨店での花会は盛んとなる一方、現在では美術展と同様、美術館はもとより公民館、各種会館、ホールなどの屋内スペースのあらゆる場所が利用され、また野外にまで広がっている。

[北條明直]

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