花式図(読み)カシキズ(その他表記)floral diagram

デジタル大辞泉 「花式図」の意味・読み・例文・類語

かしき‐ず〔クワシキヅ〕【花式図】

花を構成する要素種類・数・配置などを、上から投影して描いた模式図。花図式。

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精選版 日本国語大辞典 「花式図」の意味・読み・例文・類語

かしき‐ずクヮシキヅ【花式図】

  1. 〘 名詞 〙 花の横断面を基にして、各要素の配置、数、種類を模型的に示した図。花の構造比較などに用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「花式図」の意味・わかりやすい解説

花式図 (かしきず)
floral diagram

花の構成を簡明に表現した模式図。一つの花をその軸に対し直角に切り,水平に投影し,萼(がく),花冠おしべめしべなどの花葉と苞や小苞などの苞葉を含め,その数やならび方を,同心円状に図示してつくる。苞葉や萼片花弁は弧で表現し,おしべは葯(やく),まためしべは子房の横断面に模した図形で示す。さらに花をつける枝(花柄)とその枝を抱く苞や小苞の位置も合わせて図示するが,チューリップのように一つの花が軸の先端に頂生するものはその必要がない。このような花式図によって,花の相称生(矢印で示す),花葉の数とその配列状態,花葉間の合着の有無(点線で結ぶ),つぼみの時期における花弁などの閉じ方(幼葉態aestivation),葯の向き(内向性,側向性,外向性),子房室の数や胚珠の数とそのつき方などがわかりやすく,しかも容易に表現できることが利点である。このために,花式図は近縁分類群の間での花の構成について,比較形態学的研究につかわれる。アイヒラーA.Eichlerはこの立場から研究を集大成し,《花式図Blütendiagramme》全2巻(1875,1878)を出版した。彼の業績はエングラーH.G.A.Englerの分類大系の基礎をなしたものである。なお花式floral formulaは花葉の種類とその数を示して花の構成を表現する式でグリーゼバッハA.H.R.Grisebachにより発案された(1854)ため,ドイツ式にしたがって,萼をK(Ca-米英式),花冠をC(Co),花被をP,おしべ群をA,めしべ群をGであらわす。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花式図」の意味・わかりやすい解説

花式図
かしきず
floral diagram

花を構成している花葉の配列関係を図式的に表わしたもの。同心円をつくり,同じ輪上にある花葉を同一の円上に並べ,各輪上のものの相互の位置関係を示す。退化したものは×印で示し,花被は白または黒弧線,萼片を黒弧線,花弁を白弧線,おしべや心皮はその実際の断面を模した形で表わす。ただし,花全体がどの程度の大きさかは,花式図では示されない。

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百科事典マイペディア 「花式図」の意味・わかりやすい解説

花式図【かしきず】

花の各部分の数と相互位置,およびそれらと茎との位置関係を図示したもの。花の横断面で示され,外より内に向かって同心円状に,苞(ほう),萼(がく),花弁,おしべ,めしべ(子房の横断で心皮,胚珠,胎座の位置をも示す)の順で描く。近縁な分類群の間での花の構成の違いを比較するのに便利。

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