花の構成を簡明に表現した模式図。一つの花をその軸に対し直角に切り,水平に投影し,萼(がく),花冠,おしべ,めしべなどの花葉と苞や小苞などの苞葉を含め,その数やならび方を,同心円状に図示してつくる。苞葉や萼片,花弁は弧で表現し,おしべは葯(やく),まためしべは子房の横断面に模した図形で示す。さらに花をつける枝(花柄)とその枝を抱く苞や小苞の位置も合わせて図示するが,チューリップのように一つの花が軸の先端に頂生するものはその必要がない。このような花式図によって,花の相称生(矢印で示す),花葉の数とその配列状態,花葉間の合着の有無(点線で結ぶ),つぼみの時期における花弁などの閉じ方(幼葉態aestivation),葯の向き(内向性,側向性,外向性),子房室の数や胚珠の数とそのつき方などがわかりやすく,しかも容易に表現できることが利点である。このために,花式図は近縁な分類群の間での花の構成について,比較形態学的研究につかわれる。アイヒラーA.Eichlerはこの立場から研究を集大成し,《花式図Blütendiagramme》全2巻(1875,1878)を出版した。彼の業績はエングラーH.G.A.Englerの分類大系の基礎をなしたものである。なお花式floral formulaは花葉の種類とその数を示して花の構成を表現する式でグリーゼバッハA.H.R.Grisebachにより発案された(1854)ため,ドイツ式にしたがって,萼をK(Ca-米英式),花冠をC(Co),花被をP,おしべ群をA,めしべ群をGであらわす。
執筆者:福岡 誠行
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