花月(読み)カゲツ

デジタル大辞泉 「花月」の意味・読み・例文・類語

かげつ【花月】[謡曲]

謡曲四番目物旅僧清水きよみずで、花月という喝食かっしきになっているわが子に再会、花月は曲舞くせまい羯鼓かっこなどの芸尽くしを見せる。

か‐げつ〔クワ‐〕【花月】

花と月。
風流な遊び。
フチベニベンケイ
[補説]曲名別項。→花月

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精選版 日本国語大辞典 「花月」の意味・読み・例文・類語

か‐げつクヮ‥【花月】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 花と月。また、美しい花が咲き、月が美しく照ること。転じて、風流な遊び。風流ごと。
      1. [初出の実例]「壮年未取歓情尽、花月徒労世累長」(出典:田氏家集(892頃)上・三月晦日送春感題)
      2. 「方今芳年已尽。華月将窮」(出典:本朝文粋(1060頃)一〇・古廟春方暮詩序〈大江以言〉)
      3. [その他の文献]〔杜甫‐贈特進汝陽王詩〕
    2. かげつ(花月)の式(しき)
      1. [初出の実例]「遠山様の手前で濃い茶でも回すか。いっそ花月も能らふかいな」(出典:歌舞伎・けいせい花絵合(1773)口明)
  2. [ 2 ] 謡曲。四番目物。各流。作者不詳。京都清水寺での父子再会の物語。シテの花月という少年の演ずる雑芸(ぞうげい)主眼となる。

はな‐つ‐づき【花月】

  1. 〘 名詞 〙 陰暦三月の異称。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「花つ月花より後の名のあらばむなしく我は袖ぬれぬべし」(出典:莫伝抄(室町前))

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普及版 字通 「花月」の読み・字形・画数・意味

【花月】か(くわ)げつ

花と月と。唐・賈至〔王道士の京に還るを送る〕詩 借問す、 豈に知らんや、客の湘(せうしやう)に泣くを

字通「花」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「花月」の意味・わかりやすい解説

花月 (かげつ)

能の曲名。四番目物。世阿弥時代からある能。作者不明。シテは花月と名のる少年。7歳の子を見失ったことから出家した僧(ワキ)が,都の清水寺に行くと,花月と名のる少年がいる。花月は,門前の者(アイ)と小歌を楽しんだり,花の枝のウグイスを弓でねらったり(〈弓ノ段〉),清水寺縁起曲舞(くせまい)を舞ったりして興じている(〈クセ〉)。僧がよく見ると成長したわが子なので,対面を喜ぶ。花月は,門前の人との別れに舞を舞い(〈羯鼓(かつこ)〉),幼時天狗にさらわれて諸国の山々を巡った思い出を物語った末,父に伴われて修行の旅に出る。芸尽しの能で,小歌,弓ノ段,クセ,羯鼓,山尽しと,見せ場が多い。少年の無邪気な様子を浮き立たせた小佳曲である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花月」の意味・わかりやすい解説

花月
かげつ

能の曲目。四番目物。五流現行曲。世阿弥(ぜあみ)の伝書『三道(さんどう)』に記載のある古作の能。美少年に中世の流行芸能のさまざまを演じさせる趣向である。7歳の子と生き別れた男(ワキ)は僧となって全国を回り、京都へやってくる。清水(きよみず)寺で門前の者(アイ)になにか都のおもしろいものをと頼む。呼び出された少年花月(シテ)は、恋の小唄(こうた)、中世の流行唄(はやりうた)を謡い、清水寺の縁起をクセ舞に舞う。僧はわが子であることを知り、親子の再会となる。都の名残(なごり)にと花月は羯鼓(かっこ)を打って舞い、天狗(てんぐ)にさらわれて諸国を遍歴したありさまを語って、父子ともども仏道修行に旅立っていく。無邪気で明るく、これも中世に流行した禅の軽みを加え、美少年愛好の室町時代が匂(にお)い立つ小品の能である。

[増田正造]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「花月」の解説

花月 かげつ

能「花月」の主人公の少年。
7歳のとき天狗(てんぐ)にさらわれ,父と生き別れとなる。父は僧となり,子をたずねて各地をめぐり,京都清水寺をおとずれる。縁起の曲舞(くせまい)をまっている少年がわが子とわかり,ともに仏道修行に旅だつ。

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デジタル大辞泉プラス 「花月」の解説

花月

長崎県長崎市にある料亭。1642年、遊郭「引田屋」として創業。文人墨客や、坂本龍馬など幕末の志士も多く訪れた県の指定史跡。卓袱料理が名物。

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