本場所以外の相撲興行はすべてを花相撲という。引退相撲,慈善相撲,巡業相撲などがこれに当たり,相撲の勝敗は番付の昇降や給金に関係しない。花相撲には本場所に見られぬ初切り(しよつきり),相撲甚句,太鼓の打分け,五人抜きなどの余興が見られる。花相撲の〈花〉の語源は唐の〈纏頭(てんとう)〉からきている。中国では祝儀に綿布を与えると,これを頭に巻いて拝受する風習があり,これが日本の平安朝貴族に伝えられ,その風習とともに〈纏頭〉の文字を用い,引出物の意味である〈被物(かずけもの)〉といい,また祝儀の意である〈はな〉といった。この勝者に与える懸賞は,初めは麻布,衣類などを首や頭に巻いて謝意を表したが,この風習は長く続いて後世まで残り,懸賞の種類も衣類,食糧,武具,金銭の順に移り,江戸,明治のころには,勝力士に対して見物人が衣類を土俵に投げ込み,これを呼出しが返却するとき金銭と換え,これらも〈花〉といった。この〈はな〉の意が,本場所とは異なる〈御祝儀相撲〉の意である巡業相撲などに用いられるようになった。
執筆者:池田 雅雄
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本場所以外の興行のことで、勝負は番付や給金に関係がない。広い意味で地方巡業の興行も花相撲である。本場所には見られない初切(しょっき)り、相撲甚句(じんく)、飛びつき5人抜きなどの余興を行う。花相撲の語源は、江戸勧進相撲の初期のころ、見物人の投げ銭や祝儀(纏頭(はな))を目当てに行った辻(つじ)相撲、祭礼に際して催した興行相撲などから出ている。
[池田雅雄]
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