芳しい(読み)カグワシイ

デジタル大辞泉 「芳しい」の意味・読み・例文・類語

か‐ぐわし・い〔‐ぐはしい〕【芳しい/香しい/×馨しい】

[形][文]かぐは・し[シク]《「くはし」の意》
よいにおいがする。香りがよい。かんばしい。こうばしい。「―・い梅の香り」
心が引かれる。好ましい。すばらしい。
「あなたとの最初邂逅が、こんなにも、海を、月を、夜を、―・くさせたとしか思われません」〈田中英光オリンポス果実
「見まくり思ひしなへにかづらかげ―・し君を相見つるかも」〈・四一二〇〉
[派生]かぐわしげ[形動]かぐわしさ[名]
[類語]香ばしい芳しい匂う匂やか匂いやか薫るくんずる匂わす鼻につく馥郁ふくいく芬芬ふんぷん

かんばし・い【芳しい/×馨しい/香しい】

[形][文]かんば・し[シク]《「かぐわしい」の音変化》
においがよい。こうばしい。「―・い花の香り」「栴檀せんだん双葉より―・し」
多く打消しの語を伴って用いる)好ましいもの、りっぱなものと認められるさま。「成績が―・くない」
[派生]かんばしげ[形動]かんばしさ[名]
[類語]香ばしいかぐわしい匂う匂やか匂いやか薫るくんずる匂わす鼻につく馥郁ふくいく芬芬ふんぷん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「芳しい」の意味・読み・例文・類語

かんばし・い【芳・香・馨】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かんば〘 形容詞シク活用 〙 ( 「かぐわしい(芳)」の変化した語 )
  2. かおりが高い。においがよい。
    1. [初出の実例]「諸の香(カムハシキ)蘇油を用ゐよ」(出典:蘇悉地羯羅経延喜九年点(909))
    2. 「春にあへる匂天下に薫し」(出典:海道記(1223頃)逆川より鎌倉)
  3. ほまれが高い。評判がよい。りっぱである。現代では下に打消の語を伴うことが多い。
    1. [初出の実例]「余り香(カン)ばしくない奥さん方も随分ありますが」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵貴婦人)
  4. 好ましい。望ましい。思わしい。現代では下に打消の語を伴うことが多い。
    1. [初出の実例]「どの道露鉄(つゆてつ)のやうな〈略〉奴が出入するは余り香ばしくないワ」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉電影)

芳しいの派生語

かんばし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

芳しいの派生語

かんばし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

か‐ぐわし・い‥ぐはしい【芳・香・馨】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かぐは〘 形容詞シク活用 〙 ( 名詞「か(香)」に、すぐれている意の形容詞「くはし」が付いてできたもの )
  2. かおりが高い。においがよい。
    1. [初出の実例]「蒜摘みに 我が行く道の 迦具波斯(カグハシ) 花橘は」(出典:古事記(712)中・歌謡)
  3. 心がひかれる。したわしく思う。好ましく思う。いとしい。すばらしい。かんばしい。
    1. [初出の実例]「見まく欲り思ひしなへに蘰(かづら)懸け香具波之(カグハシ)君を相見つるかも」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二〇)

芳しいの派生語

かぐわし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

芳しいの派生語

かぐわし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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