福井県小浜(おばま)市で産する一種の変わり塗りの漆器。慶長(けいちょう)年間(1596~1615)松浦三十郎が海底のありさまを模様化した菊塵(きくじん)塗を考案し、門人の西脇紋右衛門(もんえもん)が海辺の波打ち際を見て磯辺(いそべ)塗をくふうしたのに始まる。万治(まんじ)年間(1658~61)には卵殻の粉末や籾殻(もみがら)などを使用して文様地文をつくり、ついで各種の彩漆(いろうるし)を塗り、それに金銀箔(はく)の断片を蒔(ま)き付ける技法が発明された。藩主酒井侯がそれを若狭塗と命名して保護育成し、現代まで地場産業の名産品として続いている。とくに若狭塗箸(ばし)が有名。
[郷家忠臣]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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