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荼枳尼天 だきにてんḌākinī

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

荼枳尼天
だきにてん
Ḍākinī

夜叉または羅刹 (→ラークシャサ ) の一種。人の死ぬ6ヵ月前にそれを通力によって察知して,その人の心臓を取って食べるといわれる。密教では,胎蔵界曼荼羅外金剛部院に配され,その法を修すれば通力が得られるという。

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デジタル大辞泉の解説

だきに‐てん【荼枳尼天/吒枳尼天/荼吉尼天】

《〈梵〉Ḍākinīの音写仏教鬼神で、密教では、胎蔵界曼陀羅(まんだら)外院にあって、大黒天に所属する夜叉(やしゃ)神。自在の通力をもって6か月前に人の死を知り、その心臓を食うといわれる。日本では狐の精とされ、稲荷(いなり)信仰と混同されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

だきにてん【荼枳尼天】

大母神カーリーの使婢たる鬼霊。サンスクリットでダーキニーḌākinīといい,荼枳尼,拏吉尼などと音写される。吒祇尼,吒枳尼などとも書かれる。幻力(マーヤー)を有し,夜間尸林(しりん)(墓所)に集会し,肉を食い飲酒し,奏楽乱舞し,性的放縦を伴う狂宴を現出する。人を害する鬼女として恐れられるが,手段を講じてなだめれば非常な恩恵をもたらす。タントラ仏教では彼女ら(〈母〉たち,現実には,特殊な魔術的能力を有するとされる低賤カーストの女性たち)のグループ(荼枳尼網)を,世界の究極的実在としての女性原理であり,悟りを生む知恵でもある〈般若波羅蜜〉とみなし,それと性的に瑜伽(ヨーガ合一)することによって即身成仏の実現を期する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

荼枳尼天
だきにてん

死者の肉を食う夜叉(やしゃ)(鬼神)の類。サンスクリット語ダーキニーDkinの音写。荼吉尼、陀祇尼とも写す。大黒天の眷属(けんぞく)。そのもつ力により6か月前から人の死を予知し、臨終を待ってその肉を食うという。密教の胎蔵現図曼荼羅(たいぞうげんずまんだら)の外院(げいん)南辺に位置する。『大日経疏(だいにちきょうしょ)』巻10、『普通真言蔵品(しんごんぞうぼん)』第四に説かれる。人体中の黄(おう)(心肝)を食すると、すべてを意のままに成就(じょうじゅ)することができるとされている。なお、日本では稲荷(いなり)神の本地仏とされ、愛知県の豊川稲荷(妙厳(みょうごん)寺)に祀(まつ)られている。[小野塚幾澄]

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世界大百科事典内の荼枳尼天の言及

【キツネ(狐)】より

…【柳 宗玄】
[日本]
 キツネはノウサギやノネズミの天敵として農民にとっては有益な獣であるが,世間的には人間をたぶらかす性悪の獣という印象が広まっている。これはキツネが農耕神としての稲荷の仮の姿,または使者であり,霊獣であるという信仰が衰微していき,他方,知識人の間では中国伝来の,キツネが女に化けて人をだますという〈金毛九尾狐〉などの話が広まり,さらに仏教系の神である荼枳尼天(だきにてん)などの信仰が加わって,その霊力がしだいに妖怪的な内容をもつとイメージされるようになった結果であり,中世以来の変化の現れといえる。それ以前には,文献上でも《日本霊異記》に記された狐直(きつねのあたい)のように,霊あるキツネが人の妻となって強力な子孫を残したという伝承が恥ずるところなく旧家のあかしとして語られた。…

※「荼枳尼天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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