萎える(読み)ナエル

デジタル大辞泉 「萎える」の意味・読み・例文・類語

な・える【萎える】

[動ア下一][文]な・ゆ[ヤ下二]
体力気力が衰えて弱る。「寝たきりで、手足が―・えてくる」「心が―・える」
植物などがしおれる。しなびる。「草花が―・える」
着古したり、のりが落ちたりして、衣服が柔らかくなる。
小倉袴の―・えたるを着て」〈蘆花不如帰
[類語]散る落ちる降り敷くこぼれる凋落ちょうらくする落葉する枯れるしおれるしなびるしぼむ末枯れる枯らす枯れ落ちる立ち枯れ霜枯れ冬枯れ枯死

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「萎える」の意味・読み・例文・類語

な・える【萎・痿】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ヤ下一) 〙
    [ 文語形 ]な・ゆ 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙
  2. 力が抜けてなよなよとなる。気力がなくなってぐったりとする。また、手足などが麻痺(まひ)して、感覚がなくなる。
    1. [初出の実例]「若宮とておはしましし、幼くよりなへさせ給て」(出典:今鏡(1170)六)
  3. 衣服などが、長く着たために柔らかくなる。糊(のり)などが落ちて張りがなくなり、くたくたとなる。
    1. [初出の実例]「はかなき単衣のなへたるを著たるに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. 植物がしおれる。しなびる。
    1. [初出の実例]「葵・かづらもうちなえて見ゆ」(出典:前田本枕(10C終)七六)
  5. たわむ。
    1. [初出の実例]「月見れば風に桜の枝なえて花よと告ぐる心地こそすれ」(出典:山家集(12C後)下)
  6. 気持がしぼむ。意気込みが消えていく。
    1. [初出の実例]「先生の温かい強い言葉は、萎(ナ)え切った敬二の心身に酒よりも濃い血を注入する様で」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉七)

萎えるの補助注記

( 1 )活用がヤ行下二段である古い確例には「観智院本名義抄」の「 ナユ、萎 ナユ」がある。
( 2 )の意は、手足が自由にならない意の、ハ行下二段動詞「なふ」との意味近似から後世は混同された面がある。→なうなえ

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