日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕨(市)」の意味・わかりやすい解説
蕨(市)
わらび
埼玉県南東部、さいたま市の南東に接する市。1959年(昭和34)市制施行。JR京浜東北線、国道17号が通じる。付近一帯は荒川の沖積低地であるが、集落は古くから自然堤防上に位置し、現在は全市域が市街化し、農地はわずかである。中世蕨城があったが、江戸時代は中山道(なかせんどう)第二の宿場町として栄え、戸田の渡しを控えて、浦和宿や大宮宿より人口が多かった。いまでも11月に「宿場まつり」が盛大に行われている。本陣記念碑に隣接して歴史民俗資料館が1990年(平成2)に開設した。また、江戸末期高橋新五郎によって始められた双子縞(ふたごじま)とよばれる綿織物の生産が盛んになり、昭和初期まで県南綿織物生産地の中心であった。現在は各種工業が盛んで、コンピュータ関連企業の進出がみられる。面積5.11平方キロメートルで全国最小面積の市だが、人口密度は1平方キロメートル当り1万4536人(2020)で、東京特別区をのぞくと全国一の過密都市である。面積5.11平方キロメートル、人口7万4283(2020)。
[中山正民]
『『蕨市の歴史』全2巻(1967・蕨市)』▽『『新修蕨市史』全5巻(1991~1995・蕨市)』