薩摩節(読み)サツマブシ

デジタル大辞泉 「薩摩節」の意味・読み・例文・類語

さつま‐ぶし【×薩摩節】

薩摩地方特産かつお節
[補説]曲名別項。→薩摩節

さつま‐ぶし【薩摩節】[古浄瑠璃]

古浄瑠璃の一。寛永(1624~1644)のころ江戸薩摩浄雲の始めたもの。剛健語り口特徴とする。浄雲節。薩摩浄瑠璃。

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精選版 日本国語大辞典 「薩摩節」の意味・読み・例文・類語

さつま‐ぶし【薩摩節】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 浄瑠璃節の一つ。薩摩浄雲が寛永(一六二四‐四四)の頃江戸で語りはじめ、多くの江戸浄瑠璃流派を生んだ。硬派の江戸浄瑠璃の元祖。浄雲節。
    1. [初出の実例]「酒盛はともあれ野郎の袖枕〈一朝〉 思ひみだるるその薩摩ぶし〈雪柴〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
  3. 元祿一六八八‐一七〇四)頃流行した七七七五型の唄。
    1. [初出の実例]「さつまぶし。おやは他国に、子は島原に、桜花かや散りぢりに」(出典:歌謡・松の葉(1703)三・薩摩ぶし)
  4. 文政(一八一八‐三〇)頃流行した薩摩の金山をうたった舟唄。それを少し改めたものが歌舞伎の下座や小唄に、「さつまさ」という曲名で歌われている。
    1. [初出の実例]「薩摩節。さつまさつまと急いで押せど、いやな薩摩に金山しょんがへ」(出典:歌謡・浮れ草(1822)薩摩節)
  5. 薩摩国(鹿児島県)から産出する鰹節。形状が大きく土佐産とならび本場物とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「薩摩節」の意味・わかりやすい解説

薩摩節
さつまぶし

薩摩国(鹿児島県)特産のかつお節。南さつま市坊津(ぼうのつ)、枕崎(まくらざき)市、指宿(いぶすき)市山川(やまがわ)などが産地。かつお節は古くからある保存食品であるが、煮熟後、燻乾(くんかん)する本格的製法は近世初期以降のものである。紀州熊野浦の漁師甚太郎(じんたろう)が1674年(延宝2)に発明したこの製法は宝永(ほうえい)(1704~11)のころ薩摩に伝えられたという。坊津では享保(きょうほう)(1716~36)の初め唐物(からもの)崩れ(密貿易検挙)によりカツオ漁業に転換し、18世紀初頭にかつお節製造家が2家おこり漁況も振興した。1823年(文政6)には製造家が坊津に10軒、泊津(とまりつ)(南さつま市)に4軒あった。当時は半製品の荒節が主で、大坂、兵庫にも移出している。明治以降も土佐節・紀州節と並ぶ名産で、現在でも全国生産の約6割を占めている。

原口 泉]

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世界大百科事典(旧版)内の薩摩節の言及

【浄瑠璃】より

…丹後掾の正本に《清水の御本地》があるが,その末流は扇情的・抒情的な軟派の流風に傾く。浄雲には《はなや》などあり,その勇壮な硬派の流派(薩摩節)は2世薩摩その他に受け継がれ,明暦(1655‐58)から寛文(1661‐73)ころ以後,それぞれが流派を立てて活躍した。その中で注目されるものに金平(きんぴら)節(金平浄瑠璃),外記節土佐節がある。…

※「薩摩節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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