薩摩国(鹿児島県)特産のかつお節。南さつま市坊津(ぼうのつ)、枕崎(まくらざき)市、指宿(いぶすき)市山川(やまがわ)などが産地。かつお節は古くからある保存食品であるが、煮熟後、燻乾(くんかん)する本格的製法は近世初期以降のものである。紀州熊野浦の漁師甚太郎(じんたろう)が1674年(延宝2)に発明したこの製法は宝永(ほうえい)(1704~11)のころ薩摩に伝えられたという。坊津では享保(きょうほう)(1716~36)の初め唐物(からもの)崩れ(密貿易検挙)によりカツオ漁業に転換し、18世紀初頭にかつお節製造家が2家おこり漁況も振興した。1823年(文政6)には製造家が坊津に10軒、泊津(とまりつ)(南さつま市)に4軒あった。当時は半製品の荒節が主で、大坂、兵庫にも移出している。明治以降も土佐節・紀州節と並ぶ名産で、現在でも全国生産の約6割を占めている。
[原口 泉]
…丹後掾の正本に《清水の御本地》があるが,その末流は扇情的・抒情的な軟派の流風に傾く。浄雲には《はなや》などあり,その勇壮な硬派の流派(薩摩節)は2世薩摩その他に受け継がれ,明暦(1655‐58)から寛文(1661‐73)ころ以後,それぞれが流派を立てて活躍した。その中で注目されるものに金平(きんぴら)節(金平浄瑠璃),外記節,土佐節がある。…
※「薩摩節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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