薬剤性肺炎(読み)ヤクザイセイハイエン

家庭医学館の解説

やくざいせいはいえん【薬剤性肺炎 Drug-Induced Pneumonitis】

[どんな病気か]
 別の病気の治療に使用された薬剤によっておこる間質性肺炎(かんしつせいはいえん)(「間質性肺炎とは」)を、薬剤性肺炎といいます。
[原因]
 いろいろな薬剤によっておこりますが、なかでもとくに抗がん剤、免疫抑制薬、抗生物質、化学療法薬、抗炎症薬、降圧薬などが間質性肺炎をおこすことが知られています。
 薬剤あるいはそれがからだの中で変化したものが細胞を障害しておこる肺炎と、それらの物質が抗原(こうげん)になってアレルギー反応をひきおこして発病する肺炎とに、大きく分けられます。
 一般に、薬の使用総量が多い場合、多種類の薬を使っている場合、高齢者の場合、もともと肺の病変がある場合に発生しやすい病気です。
[症状]
 薬剤を使用してから症状が出るまでの期間の長短により、急性、亜急性、慢性に分けられます。
 急性、亜急性の発病は、薬の使用後すぐ、あるいは数週間後に、呼吸困難、からせき(乾性咳嗽(かんせいがいそう))が現われ、ふつうは発熱をともないます。
 もっとも多くみられるのは慢性肺炎で、薬剤を使用して数週から数か月たって、しだいにからだを動かしたときの呼吸困難、からせきが現われて発病します。発熱はともなわないのがふつうです。
[検査と診断]
 胸部X腺写真には、両側の肺の下部を中心に、粒状、網状の陰影がみられます。
 肺のはたらきを調べると、いろいろな程度で肺活量が低下し、血中酸素(けっちゅうさんそ)が不足する低酸素血症(ていさんそけっしょう)があります。
 血液検査では、白血球(はっけっきゅう)の中等度の増加、赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)の上昇と、CRP(からだに炎症があると血液中に急激に増えるC反応性たんぱく)が軽度~中等度に増えているのがわかります。
 薬剤性肺炎にだけ現われる症状というものはありません。薬を使っている患者さんに間質性肺炎がおこるのをみたら、この病気ではないかと疑うことがたいせつです。
 アレルギー反応によっておこる場合は、使っている薬を皮膚にはりつけて炎症がおこるかをみるパッチテストや、リンパ球幼弱化反応試験(ようじゃくかはんのうしけん)(ある抗原にふれて免疫の記憶をもつリンパ球が同じ抗原とともに培養されると形を変えることを利用して、抗原を見つける試験)が診断に役立つことがあります。
 慢性型では、ほかの間質性肺炎、肺線維症(はいせんいしょう)との区別をするのがむずかしい場合があります。
[治療]
 薬の使用を中断しなければ、さらに症状は悪くなりますので、疑わしい薬はすべて使用を中止します。必要に応じて、ステロイド薬を使用します。ステロイド薬は、アレルギー反応によるものには効きますが、薬が細胞を障害する肺炎では効かないことも多く、経過がよくない場合もあります。
[予防]
 症例によっては死亡することもありますので、間質性肺炎をおこしやすい薬を使う場合、医師は、あらかじめその可能性を患者さんによく説明し、定期的に胸部X線撮影、肺機能の検査などを行ない、早期発見、早期治療につとめます。
 アレルギー体質のある人は、医師に伝えましょう。医師は、薬剤性肺炎になりやすい状況にある人に薬を使うときには、とくに注意深く行ないます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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