藍衣社(読み)ランイシャ(英語表記)Lán yī shè

デジタル大辞泉 「藍衣社」の意味・読み・例文・類語

らんい‐しゃ【藍衣社】

中華民国の秘密政治結社。1932年ごろ黄埔こうほ軍官学校の出身者を中心に結成されたといわれ、蒋介石政権の独裁維持と反対勢力の撲滅を目的とした。党員藍色上着を着ていたのでこの名がある。正式名は中華民族復興社

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「藍衣社」の意味・読み・例文・類語

らんい‐しゃ【藍衣社】

  1. 中国で蒋介石の独裁権力の確立を目的として一九三一年に設立された国民党内の秘密結社黄埔軍官学校の出身者を中心に、反対勢力に対して諜報謀略などの秘密工作を行ない、また、特務機関として反共抗日運動に暗躍した。蒋介石政権の失墜とともに、四八年以降に解体

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「藍衣社」の意味・わかりやすい解説

藍衣社 (らんいしゃ)
Lán yī shè

中国,民国時代の政治秘密結社蔣介石独裁政治の確立をめざし,彼を永久最高の指導者として,黄埔軍官学校出身者を中心に,力社-青会-復興社といった機構から成る,ファッショ団体を総称していう。1931年末に成立。南京,上海を中心に長江(揚子江)流域に拡大し,反共活動と抗日運動へのテロ活動を行って,蔣介石が国民党内で支配権を確立するうえでひとつの支柱となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「藍衣社」の意味・わかりやすい解説

藍衣社【らんいしゃ】

中国国民党内の軍人系党員を中核とする極右秘密結社。結成は1931年末という。CC団と対抗関係をもちながら,ともに蒋介石独裁の支柱となった。社長は蒋介石で,反蒋分子,反蒋運動などの弾圧にあたった。藍衣とは国民党の礼服にちなんだ通称。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藍衣社」の意味・わかりやすい解説

藍衣社
らんいしゃ
Lan-yi-she

蒋介石を永久最高の領袖としていただく反共秘密政治結社。この名称は中国国民党の礼服であった藍衣に由来し,質実の意をこめている。イタリアの黒シャツ党に範をとったものともいわれる。 1931年頃,黄埔軍官学校出身の軍人で結成された秘密結社を中核とし,戴笠,劉健群,胡宗南らがこれを指導した。非軍人系の CC団とともに謀略,暗殺を常套手段として,暴力的に蒋政権を維持するための二大支柱とされた。この結社の活動によって 鄧演達,史量才その他多くの人々が犠牲となった。第2次国共合作成立の翌年の 38年,三民主義青年団に編入され名目上は姿を消したが,実際は軍事委員会調査統計局に引継がれ,その後も反共特務工作の基軸をなした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藍衣社」の意味・わかりやすい解説

藍衣社
らんいしゃ

中国、中華民国時代の特務的性格をもった政治結社。正式名称は中華民族復興社、略して復興社ともいう。藍(あい)色の上着と黄色のズボンを制服としたので藍衣社と称された。満州事変後の1932年、反蒋介石(しょうかいせき)民主運動を弾圧するため、民族復興を掲げて国民党内に結成された国家主義的結社で、中核組織を力行社といい、その下に戴笠(たいりゅう)が主宰した特務処を置いて、中国共産党員や民主派、反蒋派に白色テロを行って恐れられた。蒋介石の独裁の一つの支柱であった。38年1月に解散し、社員の多くは三民主義青年団に加入、特務組織は軍統局に改編された。日本軍占領地、とくに大都市での抗日テロにも従事した。

[小島晋治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「藍衣社」の解説

藍衣社(らんいしゃ)

蒋介石(しょうかいせき)の独裁を維持強化するためのファッショ的特務機関。CC団と並び称される。1931年の満洲事変後,黄埔(こうほ)軍官学校出身者が中心となって軍人国民党員によって組織された。蒋介石を社長とし,蒋の私党として反蒋分子,反蒋運動,反蒋抗日運動などの弾圧にあたった。CC団と対立しながらも,蒋の独裁強化,反共の点では一致協力した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「藍衣社」の解説

藍衣社

中国、中華民国時代の反共秘密政治結社「復興社」の俗称。党員が藍色の上着を着用したことから。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の藍衣社の言及

【特務】より

…国民政府統治の中国で,国民党およびその政府の秘密工作員,密偵に対する呼称。蔣介石は1929年にCC系,32年に藍衣社を腹心に作らせ,独裁体制の支柱としたが,それぞれに調査科,特務処というスパイ専門機構を置いた(のちに前者は中央党部調査統計局,後者は軍事委員会調査統計局に発展)。それらは全国に網をめぐらして情報の収集,人民の監視に任じたほか,監禁,誘拐,暗殺などの不法活動を日常に行い,人々の恐怖の的であった。…

※「藍衣社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android