デジタル大辞泉
「藩部」の意味・読み・例文・類語
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はん‐ぶ【藩部】
- 〘 名詞 〙 中国、清代の行政区域。内外蒙古、チベット、新疆、青海の総称。在来の行政組織による自治を認め、中央に事務統轄機関として理藩院を設けた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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藩部 (はんぶ)
Fān bù
中国,清代に中国本土および東北三省を除くモンゴル,新疆,チベット,青海地方の総称。これらの地方は18世紀後半までに清朝に征服されたが,清朝はこれらを直轄領に編入せず,中央官庁の理藩院の監督下にそれぞれの自治方式にゆだねて統治した。具体的には,モンゴルでは,旗(ホシュン)を行政基本単位となし,旧来の酋長を世襲の旗長(ジャサク)に任じたのに対し,新疆(回部)では,部族の有力者を非世襲の伯克(ベク)に任じて,自治を行わせた。またチベットでは,ダライ・ラマとパンチェン・ラマの二大活仏を併置し,行政権をダライ・ラマの統轄下に4人の大臣(カロン)に分散せしめた。こうした自治を監督するために,中央から新疆へは将軍,参賛大臣が,チベットへは駐蔵大臣が派遣された。清朝は藩部統治に当たっては,〈分割して統治〉する原則に立ち,このため少数民族の漢人からの隔離保護と民族宗教のラマ教,イスラム教保護に努めた。
執筆者:若松 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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藩部【はんぶ】
中国,清朝における,中国本部・中国東北(旧満州)三省・台湾の直轄地を除く,藩属地方をさす。すなわち,内外モンゴル・新疆・チベット・青海の諸地方をいう。これらの地域は直轄地とは別の行政組織に組み入れられ,直轄地における行政機関六部(りくぶ)とならぶ地位と組織を持つ理藩院を設け(1638年),藩部に関する事務を管掌させた。藩部においては地域に応じた自治体制にまかせ,その君長を在来勢力として遇する一方,相互に牽制させて各地在来勢力の横の連携は防止した。ただし,理藩院とは別に,要地には中央から将軍・都統・大臣などを派遣・駐在させ,軍事・外交権はあくまで中央政府が管轄した。異民族統治にあたっての〈分割して統治する〉という方針の踏襲ではあるが,一面で,藩部を多数派の漢族から切り離して彼らを懐柔し,漢族に対抗させるねらいもあったとみられる。
→関連項目羈縻政策
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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藩部
はんぶ
fan-bu; fan-pu
中国,清朝の藩属地域に対する総称。内・外モンゴル,青海,チベット,新疆諸地方をさす。清朝はこれらの地域を征服したのち,これを直轄地とせず,従来の各地域固有の組織による自治的統治を認める方策をとった。したがって清朝は,中国本部の統治組織とは別に中央に理藩院を設置して藩部関係の事務管轄機関とし,藩部の要地に将軍や大臣,都統を派遣駐留させて監察したり,軍事,外交などに関与させたりした。また藩部相互の分離統治をはかるとともに,藩部と中国本土との分離をもはかり,清朝による支配の安全を期した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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藩部(はんぶ)
清朝藩属のモンゴル,チベット,新疆(しんきょう),青海諸地域の総称。清朝はこれを直轄領とせず,間接統治策をとって地域に応じた自治体制をしかせ,相互の牽制を促して連携防止を図った。同時に中国本部や満洲とも区別してその接触を断ち,藩部の統轄事務管理機関として別に理藩院を設け,藩部要地に監察のための将軍,大臣などを派遣する方策をとった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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藩部
はんぶ
清代の行政区域で,中国本土と東北地方および台湾を除いたモンゴル・チベット・新疆 (しんきよう) (シンチヤン) ・青海 (せいかい) の総称
清の皇帝はこれら遊牧地域の特殊事情を認め,理藩院の監督下に,その自治方式にゆだねて統治した。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の藩部の言及
【中国】より
…他に香港,澳門(マカオ)の問題。清朝では,(1)本部(内地ともいう),(2)藩部(内蒙古,外蒙古,回部すなわち西北のイスラム教徒地域,青海,チベット),(3)満州(清朝発祥の地なのでとくに直轄地とした)の三部建てで統治した。そのうち外蒙古はロシア革命の波及によって1924年にモンゴル人民共和国として独立している。…
※「藩部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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