日本大百科全書(ニッポニカ) 「蘇陽」の意味・わかりやすい解説
蘇陽
そよう
熊本県中東部、阿蘇(あそ)郡にあった旧町名(蘇陽町(まち))。現在は上益城(かみましき)郡山都町(やまとちょう)の東部を占める。旧蘇陽町は1956年(昭和31)馬見原(まみはら)町と柏(かしわ)、菅尾(すげお)の2村が合併して改称。町名は、昭和初期に命名された五ヶ瀬(ごかせ)川の峡谷「蘇陽峡」に由来する。2005年(平成17)上益城郡矢部(やべ)町、清和(せいわ)村と合併、山都町となった。旧町域の北半は阿蘇溶結凝灰岩の火山山地、南半は阿蘇溶結凝灰岩の丘陵・台地からなる。阿蘇地方と椎葉(しいば)地方とを結ぶ国道265号と、矢部(やべ)地方と高千穂(たかちほ)地方とを結ぶ国道218号とが交差し、交通の要所である。産業は米作を基調に畜産(肉牛肥育)を加味した在来型の農業に、新たに導入されたブルーベリー、ダイコン、葉タバコ、クリ、チャ、シイタケなどの栽培強化によって維持されている。また、100メートルを超える絶壁を10キロメートル近くにわたって有する蘇陽峡は、貴重な観光資源となっている。
[山口守人]