動物の体制が複雑化するにつれ,体の内側に位置する細胞は,まわりをびっしり他の細胞に囲まれるため,酸素や栄養の供給,老廃物の排出などの面で著しく条件が悪くなる。この点を解決する手段の一つとして発達する機構が循環系で,体液を媒体として栄養物,代謝産物,酸素,二酸化炭素,体熱などを運搬している。酸素は細胞,ひいては1個体が生きていくために不可欠なものであるが,その取入れ方は単に体表面から拡散によって取り入れるものから,呼吸色素を担体とし循環系によってガス交換の場に運ばれるものまで,動物の進化段階に応じてさまざまな方式がとられる。血液は呼吸色素を含む体液で,それを入れる脈管を血管blood vesselという。血管系は,体の外表面を覆う外胚葉と内表面を覆う内胚葉の間に中胚葉組織が発達した後,その中の構造として形成される。血管系が確立されるまで,物質輸送の媒体としての体液を入れる閉鎖性の空間としては体腔がある。大部分の後生動物は,体腔の形成様式によって,原体腔動物と真体腔動物に分けられる。原体腔protocoelは,胞胚腔blastocoel(胞胚期の胚の内腔,分割腔とも呼ばれる)が体壁と消化器,生殖器との間の腔として残ったもので,中胚葉性上皮で内張りされることのない点で,中胚葉性上皮で囲まれた腔として形成される真体腔deuterocoelと異なる。紐形(ひもがた)動物のような例外はあるが(後述),血管は真体腔動物において,体腔とは別個に中胚葉,ないし中胚葉由来の間葉内に発生する管系(脈管)である。
血液はつねに血管内に含まれるとは限らず,血液の循環形態はさまざまである。扁形動物,袋形動物は血管を欠き,胞胚腔(原体腔)に由来する組織間隙(かんげき)を満たす組織液中に呼吸色素を含むものがあり,体壁筋の収縮によって原体腔内を移動する。体制の複雑化に伴い,血液の高速搬送路としての血管が形成され,その一部に動力源を備える循環系が成立するようになる。系統発生上,最初に独立した脈管系としての血管が現れるのは,原体腔動物に属する紐形動物である。紐形動物では原体腔は結合組織で埋められ,その中に内皮をもつ血管がみられる点で,無脊椎動物の中では例外的とされる。
真体腔無脊椎動物の全体を通じ,その循環系の典型を環形動物のゴカイにみることができる(図1)。ゴカイの循環系は,全長にわたり内皮を欠き,血液を含む循環路の内腔は組織間隙そのものにほかならない。循環路の一部は,真体腔内に広がるよく発達した血管となっている。この血管は,組織間隙である循環路の一部が,発生の途上その外表面を体腔上皮で囲まれ,管状となって真体腔内に広がったものである。この血管は,その末端で体壁や消化管などの臓器の壁に達し,組織間隙に広がる不規則な輪郭の循環路に続く。ゴカイの循環系のうち,血管と呼ばれる脈管構造をとるのはその一部で,真体腔内に広がる循環路の部分のみである。このような非連続的な血管系は開放循環系(または開放血管系)と呼ばれる。
血管の主管である背側血管の壁には,体腔上皮に由来する筋層が発達し,その収縮による背側血管の蠕動(ぜんどう)運動によって血液は後方から前方に流れ循環する。ゴカイの血管は,脊椎動物の血管系ではその基本構造としてつねにみられる内皮に相当する構造をまったく欠き,その内面はコラーゲン細繊維で覆われている。繊維層の発達しない血管では,体腔上皮を内張りする基底膜が露出し血液に直接接している。多くの無脊椎動物の循環系は,脊椎動物に最も近い原索動物にいたるまで,内皮が欠如した循環系で,それは組織間隙内に発達した固有の壁のない血流路であるといえる。このような循環系では,その全長にわたり至るところで,血流路は周囲の組織間隙に直接続いている。しかしこのことは,血液成分が無制限に周囲組織に浸潤することを意味しない。ゴカイのみならず無脊椎動物では,呼吸色素(ヘモグロビン,クロロクルオリン,ヘモシアニン,ヘムエリトリンなど)が血漿(けつしよう)中に溶存することが少なくないが,その呼吸色素は脊椎動物ヘモグロビンよりもはるかに高分子で,電子顕微鏡で径15~20nmあるいはそれを超える粒子としてみえることがある。その場合,それらの粒子はコラーゲン細繊維層,あるいは基底膜をほとんど通過しない。したがって内皮を欠く血管系においては,この層が組織間隙の一部である血行路と周囲組織との間で目の粗いふるいとして働き,血液と組織液との間の事実上の隔壁となっている。すなわちこの層は無脊椎動物血管系の最も基本的な構造をなしている。
軟体動物,節足動物では,血管のほかに心臓が発達している。エビでは背側血管の前端部によく発達した心臓がある。全身の組織間隙からの血液は,心臓周囲に広がる大きな組織間隙(囲心腔)に集まり,心門(心臓壁の穴)から心臓内腔に入る。これから出る血管は分枝して全身に広がり,末端で血洞haematocoel(血液で満たされた組織間隙)に開く。血洞の一部はえらに血液を送り,えらの二次層板内に微細な網目を作って広がる組織間隙に流入する。ここでガス交換した血液は囲心腔に入り,心臓に帰る。血管壁の構成要素は部位によって異なり,筋組織,緻密な繊維組織,そのほかによく発達した基底膜で内面を覆われた細胞が管壁をつくるものなどがある。
いずれの場合も,コラーゲン細繊維層が,血液に直接触れる最内層として心臓や血管の内面を覆い,その基本構造はゴカイ型循環系と同じである。しかし血液の高速搬送路としての血管,ポンプとしての心臓がその循環系の一部に発達している点で,ゴカイ型の循環系よりも明らかに進歩したものと考えることができる。ただ例外的に,紐形動物,触手動物,軟体動物頭足類で,血管内面を覆う内皮様細胞が部分的に存在するものが知られているが,脊椎動物の連続性の脈管系(閉鎖循環系または閉鎖血管系と呼ばれる)をつくる基本構造としての内皮細胞と形態的機能的にどのように対比しうるのか,また系統発生的にどのようにつながるのか不明である。なお,環形動物のヒル,棘皮(きよくひ)動物などでは,ゴカイ型血管系のほかに,真体腔が洞管系となって体内に広がっている。体腔液中の体腔内細胞が呼吸色素を含むことから,このような真体腔洞管系は,循環系の一部または副次的な循環系としての役割を果たすと考えられている。
脊椎動物の循環系は血管系とリンパ管系からなる。血管系はその全長にわたり内皮で内張りされた管系(脈管)からなり,全体として輪状に連なる連続性の循環路を形成する閉鎖系である。正常の循環過程で,血液そのものが血管外を流れることはない。内皮の存在は,脊椎動物循環系の大きな特色である。この血管系は心臓,動脈,毛細血管,静脈の4部に区分される(図2)。心臓は血液循環の原動力と方向性を与えるポンプとして働く。心臓から出た血液を身体各部の毛細血管に送る血管が動脈で,毛細血管からの血液を集め心臓に送り込む血管を静脈という。この区分は中を流れる血液の性状とは無関係で,肺動脈のように中を静脈血が流れているものもある。毛細血管は血液循環の中心となる心臓に対し最も末梢に位置し,血管内外の物質交換の場となっている。魚類以上で,呼吸色素を含まぬ体液(リンパ)を入れる脈管系(リンパ管系)が出現する。リンパ管の基本構造は血管と同じであるが,盲管で始まったリンパ管は,リンパ節を経て最終的には静脈に接続し,リンパは血液に流入する。
血管壁は,通常3層が区別される。内膜の最内層の血液に接する面は内皮で覆われている。内皮層の外側は弾性繊維,膠原繊維を主体とする結合組織層が囲む。中膜は平滑筋,弾性繊維,膠原繊維からなる。平滑筋はらせん状に配列し,自律神経と内分泌系により調節される。外膜は血管の最外層をなす結合組織である(図3)。血管壁は動脈で最も厚く,静脈では薄い。このような血管壁の局所的な著しい相違は,おもに中膜の発達の違いによるもので,毛細血管のように内皮のみから構成されるものもある。このような局所的な違いがあるにもかかわらず,脊椎動物循環系の全長にわたって存在し,環状につながる連続性の脈管そのものを形成する構造上の主体となっているのは,血管壁の構成要素の中では内皮とそれを覆う基底膜だけである。その基底膜も円口類では発達が悪く部分的にみられるだけであるから,脊椎動物循環系の基本構造をつくる本質的な構成要素は内皮だけであるといえる。内皮の最も重要な働きは物質に対する選択透過性で,血管内外の血液と組織液間の体液平衡に重要な役割を果たしている。しかし内皮の構造には,分布する器官や組織の機能的特性に応じた変化がみられ,組織液と血液を隔てる障壁としての構造と機能に局所的な差異のあることが知られている。
脊椎動物の血管分布の基本型を図4にみることができる。最もそれに近いと思われる円口類ヤツメウナギの幼生の血管系では,腸管壁の毛細血管は腸下静脈に集められ,肝臓原基内の血管網を経て肝静脈として肝臓を離れ,心臓の静脈洞に注ぐ。心臓の動脈円錐に続く動脈幹からは,鰓系(さいけい)を流れる血管網を経て背側大動脈に至る。背側大動脈から腸管や脊髄を含む体壁に分節枝を送り毛細血管となる。体壁の毛細血管はキュビエ管を経て静脈洞に集められる。前腎はおもに前主静脈,一部は後主静脈に含まれる形で静脈を細分化し,これらの静脈は前腎に対する腎門脈となっている。えら呼吸をする他の脊椎動物の血管系もほぼ同様である。
このような脊椎動物の血管系の原型を原索動物ナメクジウオにみることができる(図5)が,大動脈から出る体壁の分節動脈はいまだ静脈と連絡する循環路を形成していないし,前後の主静脈は生殖巣からの血液を受けキュビエ管も原始的状態にある。循環の中心となる心臓に対し最も末梢に位置する本来の毛細血管にあたるものは,背側大動脈の枝に続く毛細血管である。肝臓やえらにみられる類似の細血管網は,本来の毛細血管ではなくて,その発生の過程で静脈や動脈の途中の一部が細分化されてできたもので,特殊機能部位に発達した静脈網や動脈網の一種で,いわゆる〈怪網〉である。前者のような細血管網に終わる静脈を門脈(門静脈)という。腎臓の糸球体も怪網の一種である。肝臓の門脈系では,この細血管網に肝動脈からの毛細血管が注ぎ洞様毛細血管となる。えら呼吸動物では,1回の循環で毛細血管を流れるのは背側大動脈の枝に続く体組織の毛細血管を通るときの1回だけである。えら呼吸動物の心臓では,内部を流れる血液の流路は1本で静脈血が流れている。
心臓は静脈洞,心房,心室,動脈円錐の4部に分かれ,静脈洞と心房,心房と心室の間,動脈円錐の内部に弁がある。系統発生的には,肺呼吸の開始とともに肺静脈からの動脈血が新たに流入し,心臓内に静脈血と動脈血の二つの流路が生ずる。性状の異なる二つの血流は,その間に中隔が形成されることで互いに遮断されるが,冷血動物ではその分離は不完全である。両生類では心房中隔のみ,爬虫類ではさらに心室中隔が形成されるが不完全で,鳥類や哺乳類など酸素消費量の大きい恒温動物で初めて左右心の完全分離が実現する(図6)。このような肺呼吸型循環系は,えら呼吸型循環系に肺の毛細血管網とそれに続く専用のポンプ一式が別に直列に追加接続された状態とみることができる。ここでは1回の循環で2回,体組織と肺胞表面の毛細血管を血液が流れることになる。肺呼吸動物では,心臓内景の改装(2チャンネル化)とともに,基盤となるえら呼吸型循環系の改装が行われる。すなわち肺呼吸が始まりえらを失うことで,えらの毛細血管網に代わって,心臓から出る動脈幹と背側大動脈を連結する大動脈弓が鰓弓に形成され,左心と背側大動脈が直結されることによりえら呼吸型循環系は,新たに肺呼吸型循環系の中の体循環系の部分として利用される(図7)。左心と右心の完全分離が行われることにより,肺呼吸動物の複雑化した循環系は,全体としては連続性脈管からなる閉鎖系で,左心(左心房と左心室)をポンプとする体循環系と右心(右心房と右心室)をポンプとする肺循環系が直列につながれ,追越しのきかない輪状循環路を形成する。体循環と肺循環では末梢抵抗が著しく異なり,したがってそれぞれのポンプとして働く左心と右心の機能特性もひじょうに異なる。この循環系の特徴は,機能特性の異なる二つのシステム(ポンプ-末梢抵抗)が直列につながれ,しかも全体として調和のとれた循環をしなければならないという点につきる。この厳しい条件の下で,左心と右心はほぼ同一の周期で収縮と弛緩を行っているが,左心系(体循環系)と右心系(肺循環系)を単位時間内に流れる血液量を原則として等しく保つことにより,二つの異なるシステムを連ねる血液循環を維持することができる。
肺循環(小循環)は,右心室から出る1本の肺動脈幹が大動脈弓の下で分岐し肺動脈となって左右の肺に多量の炭酸ガスを含む暗赤色の血液(静脈血)を送る。肺胞表面の毛細血管網に達し,ここでガス交換を行って多量の酸素を含み鮮紅色となった血液(動脈血)は,左右の肺から各2本(計4本)の肺静脈に集められ左心房に入る。体循環では,左心房から左心室に入った動脈血は,左心室から出る1本の大動脈とその枝によって心臓を含む全身の毛細血管網に供給される。ここでガス交換を行った静脈血は,上半身からは上大静脈,下半身からは下大静脈,心臓壁からは冠状静脈洞に集められ,すべて右心房へ帰る(図8)。このように心臓に近い大血管の数,分岐の仕方,配置は,動脈系と静脈系でひじょうに異なるが,末梢では動脈の枝に静脈の枝が伴行することが多く,とくに四肢ではこの傾向が強い。静脈には弁がみられるが,とくに四肢ではよく発達し,重力に抗し心臓に帰る血液の流れを助けている。
胎児では出生後に備え肺呼吸型循環系が用意されるが,肺呼吸の行われていない胎生期の血液循環は,出生後の循環と比べきわめて特異的である。胎児の体外を流れる胎盤循環がみられるほか,体内でも出生時まで,生後間もなく確立される生後血液循環とはまったく異なる経路を血液が流れている(図9)。すなわち右心室を出て肺動脈幹に入った血液は,大部分は動脈管(ボタロ動脈管)によって大動脈弓に注ぐ。ここで左心室からの血液と合流し,下行大動脈によって胸部以下に血液を送る。頭頸(とうけい)部と上肢は大動脈弓からの枝が供給する。大動脈の枝の内腸骨動脈から出る1対の臍(さい)動脈は,臍帯を経て胎盤に至り,ここで母体の血液との間に物質交換が行われる。多量の酸素と養分を含んだ動脈血は,1本の臍静脈に集められ,臍帯を経て体内に入り,肝門で2枝に分かれる。1枝は門脈に結合し,これによって臍静脈からの動脈血の一部は肝臓に送られる。他の1枝は静脈管(アランティウス静脈管)で,肝静脈または直接下大静脈に連結する。臍静脈からの動脈血の大部分はこの静脈管によって下大静脈に注ぎ,下半身からの静脈血とともに右心房に入る。ここで下大静脈からの血液の一部は上大静脈や冠状静脈洞からの静脈血とともに右心室に入るが,残りは心房中隔の卵円孔を通って左心房に入り,左心室を経て大動脈に入る。胎児は胎盤を介し母体にまったく依存した寄生生活を送っているが,出生を機にまず胎盤との連絡が絶たれ,次いで肺呼吸が開始されるとともに卵円孔は閉じ,ボタロ動脈管,アランティウス静脈管,臍動脈,臍静脈も閉塞し,新生児の血液循環路は成人にみられるものと同じパターンの肺呼吸型循環系に一気に切り替えられてゆく。寄生から自立への激しい変化が,血管系を中心に生後間もない瞬時の間に行われる。
動脈血圧は性別や年齢で異なるほか,情動や代謝状態などによって影響を受ける。正常値の限界を明確に定めることはできないが,健康な成人男子について上腕動脈で測定した結果は,収縮期血圧は100~150mmHg,弛緩期血圧は60~90mmHgとされ,年齢とともに上昇する。成人女子では,50歳以下では平均値は男子より5~10mmHg低く,50歳以上では男子と同じである。体重70kgのヒトの安静時の心拍出量は5800ml/分で,各器官の血流抵抗の割合に応じて配分されるが,循環調節機構の働きで心拍出量と局所血流抵抗は制御され,必要なとき必要な器官に必要なだけの血流が供給される。動脈血圧や心拍出量が相当変化しても脳血流量はほぼ一定に保たれる。
血管系の形成異常は,部位・種類・程度において多岐にわたるが,心臓では内臓逆転位に伴う右心(症),ボタロ動脈管開存症,中隔欠損,弁の形成異常,ファロー四徴症(肺動脈弁狭窄(きようさく),心室中隔欠損,大動脈右転位,右室肥大)などの例があり,危険なものも少なくない。血管では重複大動脈弓,右側大動脈弓,大動脈弓分枝異常,重複下大静脈など大血管にも大きな形成異常が知られているが,高年齢まで生存する者も多い。
動脈硬化は動脈の長年にわたる障害の結果で,老人性変化の一つである。動脈壁の肥厚,硬化,改築を示す限局性病変の総称で,粥状硬化,中膜硬化,細動脈硬化などがあるが,一般に動脈硬化といえば粥状硬化を指す。粥状硬化は内膜への脂肪の沈着と繊維性肥厚をきたすもので,石灰沈着,潰瘍形成,血栓形成などを伴う。動脈硬化に伴う血管壁の破壊に対する修復についてはいまだ十分明らかではない。動脈硬化のおもな危険因子は,高コレステロール血症,高血圧,喫煙があげられ,そのほか糖尿病,肥満,職業的ストレス,家族歴などがある。
血液は循環のためには血管内で流動性でなければならないが,内膜の損傷や動脈硬化などが起因して,血管内で凝固反応が開始され,凝血塊がつくられる。これが血栓である。血液の凝固には多くの因子が関与しているが,酵素の連鎖反応によって最終的にトロンビンが形成され,これがフィブリノーゲンに作用して不溶性のフィブリン(繊維素)として析出させ,凝固は終了する。諸種の病的状態で,血液の凝固性が異常に亢進し,微小血管内で血液が凝固し多数の微小血栓を形成することがある。これを血管内凝固症候群という。諸臓器で微小血栓により末梢循環障害が起こり,出血壊死(えし),その結果としての急性腎不全,肺不全,消化管出血などの機能障害がみられる。
→血液凝固
執筆者:中尾 泰右
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
脊椎(せきつい)動物ではリンパ系とともに循環系を構成する管系で、無脊椎動物ではこの区別がないので循環系と同義に用いられる。心臓と血管とからなり、脊椎動物や環形動物の血管系は血液と組織細胞が直接に接触しない閉鎖血管系であるが、節足動物や軟体動物の血管系は開放血管系で、血液は動脈の開放末端から組織間隙(かんげき)に押し出され、体内を循環したのちに直接心臓に戻る。
心臓は血管内の体液、すなわち血液を一定方向に送る器官で、環形動物などでは背側血管の膨大部の蠕動(ぜんどう)運動により血液を送る。節足動物と軟体動物では血管の特定部分に筋肉と弁が発達し、その拍動により血流をつくる。軟体動物の心臓は節足動物のものよりよく発達し、心房と心室とが分化しているものが多い。脊椎動物の血管系では、静脈洞、心房、心室、動脈球の4部分からなる心臓が分化している。魚類はえら呼吸型循環系で、動脈球→鰓(さい)動脈→えら→大動脈→全身→静脈洞という単一の循環路をつくる。しかし両生類以上の肺呼吸型循環系では、肺循環(小循環)と体循環(大循環)の2循環路がある。肺の出現と関連して、両生類の心房は、静脈洞に接続する右心房と、肺静脈を受ける左心房とに分化する。爬虫(はちゅう)類になると心室内に隔壁が生じ、鳥類と哺乳(ほにゅう)類では左右の心室が独立して肺循環と体循環は完全に分離する。
血管系の役目は、酸素、二酸化炭素、栄養分、老廃物、ホルモン、抗体などの運搬がおもで、恒温動物では体の各所の温度維持にも役だっている。
[川島誠一郎]
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