金属材料の表面層だけを物理的・化学的手段によって硬化させ,強度,耐摩耗性,耐食性,耐熱性等の性質を改善する方法。物理的方法としては,表面焼入れ(高周波焼入れ,火炎焼入れ,電解焼入れなど),ショットピーニング(あるいはショットブラスト),放電硬化(被処理材と電極間の火花放電によって金属材料の表面を加熱急冷することにより硬化層をつくる)などがある。化学的方法としては,浸炭,窒化,浸硫などがある。金属材料の表面に超硬合金,ステライト(約30%クロム,20%タングステン,0.1~0.3%炭素,残部コバルトの合金)など,特殊合金を溶着させて表面硬化層をつくる方法もとられ,ハードフェーシングhard facingとも呼ばれる。また,鋼の表面にタングステンカーバイドWCのような超硬炭化物を1000~1100℃の還元性雰囲気中で浸透させる方法(超硬浸透法あるいはアトムロイ処理)もある。ダイス,ポンチなどの工具に適用される。ほかに,酸化皮膜法(工具鋼を酸化性雰囲気中で処理し,その表面に酸化皮膜を形成させる方法。高速度鋼の切削寿命をのばすのに利用される),硬質クロムめっき法,拡散被覆なども用いられている。硬さと装飾性を得るために非金属を被覆する方法もある。
執筆者:今井 八郎
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狭義には浸炭および焼入れによる表面硬化法.一般には,金属や合金の中心部に比較して表面の硬さを高める方法をいう.これには熱処理によるもの(浸炭・焼入れ,窒化,高周波焼入れ,火炎焼入れなど),めっきによるもの(硬質クロムめっきなど),また機械加工によるもの(ショットピーニングなど)に大別される.表面硬化の目的は耐摩耗性の向上,耐食性の改善,疲労強度の増加などである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…硬さ,耐摩耗性などの性質を向上させるために,歯車,シリンダー内面,クランク軸ジャーナル面などの表面層だけを焼入れする方法で,一般には鋼材に適用される。高周波焼入れ,火炎焼入れ,電解焼入れなどがある。
[高周波焼入れinduction hardening]
加熱源として高周波電流によるジュール熱を利用する方法。高周波電流は,スキンエフェクトskin effectといって導電体の表面層だけに電流が流れる性質をもっているので,被処理材表面を瞬間的に高周波電流を通して加熱することができ,内部にはほとんど加熱の影響が及ばない。…
※「表面硬化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
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