袖判(読み)ソデハン

デジタル大辞泉 「袖判」の意味・読み・例文・類語

そで‐はん【袖判】

古文書で、文書の袖(右側空白部)に署した花押

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精選版 日本国語大辞典 「袖判」の意味・読み・例文・類語

そで‐はん【袖判】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「そでばん」とも ) 文書の袖(右側空白部)に花押を書くこと。また、その代わりに印判を押すこと。花押や印判のこともいう。
    1. [初出の実例]「地下々知状、予袖判遣了」(出典:建内記‐嘉吉元年(1441)六月一七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「袖判」の意味・わかりやすい解説

袖判 (そではん)

文書の右側の部分(袖または端という)に花押を記すこと,またその花押。中世武家文書に多くみられる。花押は通常奥の年月日を施した下に据えるが,差出者と受取者との間に身分上隔りのあるときに袖判を用いることがある。平安時代の中ごろよりみえ(寛治3年(1089)9月22日の大宰府下文(くだしぶみ)案が初見),ついで知行国主庁宣に用いられた。中世において源頼朝の下文は,はじめ奥に花押を記したが,1184年(元暦1)以降袖判となった。奉行の奉書では頼朝をはじめ北条氏,足利氏,島津氏の文書に,南北朝期の下知状(げちじよう)に,また室町時代の将軍家御教書では3代足利義満以後のものにその例がある。戦国時代には今川義元の判物(はんもつ)などにみえる。このほか中世の譲状においてその主人が証明のために袖判を据えることもあり,着到状大将軍奉行が証判として袖に花押を記す例も珍しくない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「袖判」の意味・わかりやすい解説

袖判
そではん

古文書の右辺の余白部分を袖といい、そこに書かれた書判(かきはん)(花押(かおう))を袖判という。1045年(寛徳2)の大宰府政所牒(だざいふまんどころのちょう)の袖判が早期の例で、その後諸国が発給する庁宣(ちょうせん)という文書に、その国の知行国主(ちぎょうこくしゅ)が袖判を加えたものも多くみられる。武家でも源頼朝(よりとも)以後、袖判が多く用いられている。この形式の文書は、発給者と受領者とが主従関係にある場合など、身分の差が大きい場合に使用される。

[百瀬今朝雄]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「袖判」の解説

袖判
そではん

文書の右端(袖)に文書の本来差出人が判(花押(かおう))を書き加えること,また,その判。文書の本文家来などが代筆し,代筆者の姓名のみが書かれた場合,本来の差出人が確認のために花押を書き加える。その位置が袖の場合は袖判,奥上(おくうえ)(左端上)の場合は奥上判とよぶ。平安末期に国司の出す庁宣(ちょうせん)に,実際の責任者である知行国主が袖判を加えたのが早い例。鎌倉時代以降,武家文書に多く使われた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「袖判」の意味・わかりやすい解説

袖判
そではん

古文書学上の用語。文書の袖 (右端) に署した花押。日付の下に花押を書いたものよりも,受取人に対し尊大な書式となる。初見は寛治3 (1089) 年の大宰府下文。また,下から提出された文書に,上長が花押,あるいは承認の文章と花押を加えたものをも袖判といった。

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