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袱紗料理 ふくさりょうり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

袱紗料理
ふくさりょうり

供応料理の一種。江戸時代中期から行われていたもので,本膳料理懐石料理の中間の,やや略式のくだけたもの。特に上流の武士階級の間で盛んに行われ,本膳料理をすませたのち供されたという。書道になぞらえて本膳を「真」とすれば,袱紗を「行」,懐石を「草」とした。江戸時代末頃からの本膳式の衰退と,明治以後の懐石の隆盛に伴い,一時は本膳格の料理とされたこともあったが,今日では二,三の料理を除きその形式は失われてしまった。

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百科事典マイペディアの解説

袱紗料理【ふくさりょうり】

儀礼的な本膳(ほんぜん)料理に対する略式の料理。〈諸事やわらかく〉の意から名づけられたともいわれ,見かけよりも実質を主とし,本膳のあとに供されたりした。本膳料理がすたれるにつれ宴席料理の基調となったが,明治以後は懐石風の料理に座を譲った。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

ふくさりょうり【袱紗料理】

本膳料理を簡略にした料理。儀式的な意味合いの強い本膳料理に対し、味覚を楽しむ実質本位のもの。江戸時代には本膳料理のあとなどに出した。明治時代以降、会席料理に吸収された。⇒本膳料理

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世界大百科事典 第2版の解説

ふくさりょうり【袱紗料理】

本膳形式を略式にした形の料理。七五三などの式正(しきしよう)の料理の形式主義に対する批判と反省に基づいて,煩瑣(はんさ)な儀礼と過剰な装飾を排し,実質的な味覚を楽しむためのものとして成立した。伊勢貞丈の《貞丈雑記》が〈本式にあらざる物にはふくさと云事を付ていふなり〉といっているように,略式のものを呼ぶのに〈ふくさ〉を冠したことによる呼称である。やがて酒と料理を楽しもうという時代の要請にこたえた会席料理へと発展して,現在の日本料理の中核を形づくるようになった。

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大辞林 第三版の解説

ふくさりょうり【袱紗料理】

本膳料理を略式にしたもの。実質的な味覚を楽しむ料理として成立し、会席料理に発展。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

袱紗料理
ふくさりょうり

江戸時代、正式の供応料理を本膳(ほんぜん)料理といい、その形を少々簡略化したものを袱紗料理といった。さらに簡略化したのが懐石料理であった。文字に例えれば、本膳料理は楷(かい)書、袱紗料理が行書で、懐石料理は草書ということになる。江戸時代中期から武士階級は、本膳料理を済ませて、さらに二次会形式で袱紗料理を用いてもてなした。本膳料理を終えて裃(かみしも)を脱ぎ、袱紗袴(ばかま)にかえてくつろぎ、書画を鑑賞したり庭園を散歩したりして、ひと休みしてから味本位の袱紗料理に入るのである。この料理の内容は、「コイの生けづくり」、「鍋(なべ)焼き」(魚と野菜を主にした現在のすき焼き、または寄せ鍋の形態の料理)、「大平椀(おおひらわん)」(平たい蓋(ふた)付きの大きな椀に汁の多い煮物や焼き物などを盛り込む)など味本位につくる。袱紗料理は「ふさねて略す」の簡略の意、また、袱紗は柔らかい意もあるので柔らかい料理にも用いた。[多田鉄之助]

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