襲装束(読み)カサネショウゾク

デジタル大辞泉 「襲装束」の意味・読み・例文・類語

かさね‐しょうぞく〔‐シヤウゾク〕【襲装束】

舞楽舞人が着用する装束の一。鳥兜とりかぶとほう半臂はんぴ下襲したがさね指貫さしぬき忘れ緒糸鞋しがい踏掛ふがけなどからなる。また、略式楽人も用いる。つね装束。から装束。

かさね‐そうぞく〔‐サウゾク〕【襲装束】

かさねしょうぞく

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精選版 日本国語大辞典 「襲装束」の意味・読み・例文・類語

かさね‐しょうぞく‥シャウゾク【襲装束】

  1. 〘 名詞 〙 舞楽演奏の際の装束の一種鳥兜(とりかぶと)、袍(ほう)半臂(はんぴ)、下襲、表袴(うえのはかま)石帯糸鞋(しがい)等からなる舞人、楽人通用の装束。からしょうぞく。つねしょうぞく。かさねそうぞく。
    1. [初出の実例]「舞人六人用襲装束」(出典:台記別記‐仁平三年(1153)一一月二六日)

かさね‐そうぞく‥サウゾク【襲装束】

  1. 〘 名詞 〙かさねしょうぞく(襲装束)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「襲装束」の意味・わかりやすい解説

襲装束
かさねしょうぞく

舞楽の衣装の一種。唐(から)装束、常(つね)装束ともいわれ、舞人、楽人とも用いる。その構成は鳥甲(とりかぶと)、袍(ほう)、半臂(はんぴ)、下襲(したがさね)、表袴(うえのはかま)(近代は指貫(さしぬき)とよんでいる)、大口、石帯(せきたい)(左方は金帯、右方は銀帯)、踏懸(ふがけ)(脛巾(はばき))、襪(しとうず)、糸鞋(しかい)となっている。宮廷における舞楽は近衛(このえ)の武官が奉仕する慣例で、また舞人や楽人は衛府に属したものであったため、ほとんどが武官の装束による。襲装束も武官の朝服(束帯)の変化形式で、冠のかわりに鳥甲をかぶり、袍は闕腋(けってき)の袍、半臂の身頃(みごろ)に刺しゅうを施し、下襲はいわゆる染下襲(晴(はれ)の日に限って1日のみ使用する華やかな下襲)で、白地に絞りで菱(ひし)形に染め刺しゅうを加え、錦(にしき)の縁どりとしたものを用いた。本来は下に単(ひとえ)を着たが、鎌倉時代以降、下襲と単と下着の帷(かたびら)を襲ねるかわりに、それらを合体して一領の衣服としたものを着用することとなった。

[高田倭男]


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百科事典マイペディア 「襲装束」の意味・わかりやすい解説

襲装束【かさねしょうぞく】

舞楽装束の一つ。常(つね)装束または唐装束などとも。4人または6人の舞人が舞具を持たずに優美に舞う平舞(文の舞)に使用。装束一人分を一具といい,袍(ほう),半臂(はんぴ),下襲,赤大口,表袴(うえのはかま),紅単(ひとえ),忘緒,鳥兜(とりかぶと),石帯,踏懸(ふがけ),襪(しとうず),糸鞋(しがい)の諸部からなる。この装束では袍の片袖(かたそで)を左右の別に従って肩脱ぎに着つけるのが通例である。

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世界大百科事典(旧版)内の襲装束の言及

【舞楽装束】より

…頭装は,精好紗に黒漆をかけ下部を白布で縁どりした〈揉立烏帽子(もみたてえぼし)〉で,履物はふつう牛革を黒漆で塗り固めた浅い形の〈烏皮沓(うひぐつ∥くりかわくつ)〉を用いる。
[舞楽装束]
 唐楽(とうがく),高麗楽(こまがく)等,外国から伝承した舞楽に用いる装束の総称で,襲(かさね)装束(別名唐(とう)装束,常(つね)装束とも),蛮絵(ばんえ)装束,別装束,童(わらべ∥わらわ)装束の4種があり,それぞれに左方(さほう)(唐楽系),右方(うほう)(高麗楽系)の別があって,左方はおもに赤系統の色,右方は青・緑系統の色のものが多い。(1)襲装束 中国唐代の遺制と思われるもので,舞楽の大半はこの装束を使用している。…

※「襲装束」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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