西幸吉(読み)ニシ コウキチ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「西幸吉」の解説

西 幸吉
ニシ コウキチ


職業
薩摩琵琶奏者

生年月日
安政2年 4月8日

出生地
薩摩国鹿児島(鹿児島県)

経歴
6歳から琵琶を弾き、のち町風琵琶の名手徳田善兵衛師事。少年時代西郷隆盛の私学校に学び、明治10年の西南戦争従軍、軍中で琵琶を弾いた。12年上京、文相森有礼にその技量を認められ、薩摩琵琶を学校教育の音楽科目に入れるため13年文部省音楽取調掛に任命された。14年明治天皇皇后の前で弾奏、以後15回御前弾奏。勝海舟が西の琵琶に感銘、盟友西郷隆盛の最後を悼んで作詞して西に贈り、西が作曲した「城山」は薩摩琵琶の名曲として余りにも有名。琵琶の製作も手がけ、名器として名高い「叢雲」は西家に現存著書に「薩摩琵琶の沿革と其精神的本領」がある。門下生に四元義一、藤井銀次、宇川久信らがいる。

没年月日
昭和6年 3月15日 (1931年)

伝記
薩摩琵琶の真髄―西幸吉先生の秘録とその解題 島津 正 編著(発行元 ぺりかん社 ’93発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「西幸吉」の解説

西 幸吉
ニシ コウキチ

明治〜昭和期の薩摩琵琶奏者



生年
安政2年4月8日(1855年)

没年
昭和6(1931)年3月15日

出生地
薩摩国鹿児島(鹿児島県)

経歴
6歳から琵琶を弾き、のち町風琵琶の名手徳田善兵衛に師事。少年時代西郷隆盛の私学校に学び、明治10年の西南戦争に従軍、軍中で琵琶を弾いた。12年上京、文相森有礼にその技量を認められ、薩摩琵琶を学校教育の音楽科目に入れるため13年文部省音楽取調掛に任命された。14年明治天皇、皇后の前で弾奏、以後15回御前弾奏。勝海舟が西の琵琶に感銘、盟友西郷隆盛の最後を悼んで作詞して西に贈り、西が作曲した「城山」は薩摩琵琶の名曲として余りにも有名。琵琶の製作も手がけ、名器として名高い「叢雲」は西家に現存。著書に「薩摩琵琶の沿革と其精神的本領」がある。門下生に四元義一、藤井銀次、宇川久信らがいる。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西幸吉」の意味・わかりやすい解説

西幸吉
にしこうきち

[生]安政2(1855).4.8. 鹿児島
[没]1931.3.15. 東京
薩摩琵琶演奏家。士風琵琶と町風琵琶を融合して今日の薩摩琵琶の様式を樹立した池田甚兵衛の門下で,名手の徳田善兵衛に師事。西郷隆盛の私学校に学び,1877年に西南の役に従軍。 79年上京,初代文相森有礼に技量を認められ,80年文部省音楽取調掛に任命される。明治天皇,皇后の御前演奏十数回に及び,薩摩琵琶の東京進出と普及に貢献した。勝海舟が西郷の死をいたんで作詞した『城山』の作曲でも知られる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西幸吉」の解説

西幸吉 にし-こうきち

1855-1931 明治-昭和時代前期の琵琶(びわ)演奏家。
安政2年4月8日生まれ。徳田善兵衛に薩摩(さつま)琵琶をまなぶ。西南戦争で西郷隆盛にしたがい,陣中で琵琶を弾じる。のち上京し,明治天皇の前でしばしば演奏した。明治13年文部省音楽取調掛。作曲に勝海舟作詞の「城山」などがある。昭和6年3月15日死去。77歳。薩摩(鹿児島県)出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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