西施の顰みに倣う(読み)セイシノヒソミニナラウ

  • 西施(せいし)の顰(ひそ)みに倣(なら)う

デジタル大辞泉の解説

《美人の西施が、病気で顔をしかめたところ、それを見た醜女が、自分も顔をしかめれば美しく見えるかと思い、まねをしたという「荘子」天運の故事から》善し悪しも考えずに、人のまねをして物笑いになる。また、他人にならって事をするのをへりくだっていう言葉。顰みにならう。
[補説]「西施の顰みに習う」と書くのは誤り。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典の解説

物事の本質をとらえず、うわべだけむやみに人のまねをすることのたとえ。

[使用例] 当時の戯作者輩のひそみならう安っぽい著述にあらず[仮名垣魯文*西洋道中膝栗毛|1870~76]

[使用例] みだりに重宝珍器を羅列して豪奢を誇るの顰に傚わず、閑雅の草庵に席を設けて巧みに新古精粗の器物を交置し[太宰治*不審庵|1943]

[由来] 「荘子―天運」に見える話から。春秋時代のえつの国でのこと。美人だと評判の西せいという女性が、胸を病んで実家へ帰り、苦しみに眉をしかめていました。近くに住むある女性は、その美しい姿を見て、自分は西施ほど美しくはないにもかかわらず、まねをして眉をしかめてみました。すると、村のお金持ちは屋敷から外に出て来なくなり、貧しい人々は一家そろって引っ越してしまった、ということです。

[解説] ❶原文では、「をしかめる」ことを「ひん」という漢字で書き表していますが、現在では「顰」を用いるのがふつうです。❷村人たちの反応は、あまりと言えばあまりですが、「荘子」の真意はやや違ったところにあります。以上の話に続けて、「彼女は、眉をしかめた姿を美しいと感じるセンスはあったが、それがどうして美しいのかは、わからなかったのだ」と述べています。ここから、「理由もわからずにまねをする」という意味となり、現在では、「安易にまねをする」という意味でよく使われています。❸西施は、伝説的な美女。貧しい暮らしをしているところを、「会稽の恥を雪ぐで有名なえつ王のこうせんによって見いだされ、呉王の政治への意欲をそぐために、呉王のもとへ送り込まれた、ということになっています。

〔異形〕顰みに倣う

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