出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
山梨県南部、南都留(みなみつる)郡富士河口湖町(旧、足和田村(あしわだむら))にある湖。富士山北麓(ほくろく)の富士五湖の一つ。河口湖の西方約1キロメートルに位置する。湖面の標高900メートル、面積約2.1平方キロメートル。最大深度72メートル、貧栄養湖であるが、ヘラブナ、ワカサギの釣り場。南岸は足和田山や青木ヶ原樹海に限られ、北岸は御坂(みさか)山地に接する地形と淡青色の水色から、奥深い趣(おもむき)をもつ。近くに西湖コウモリ穴があり、コウモリとともに天然記念物に指定されている。1966年(昭和41)9月の26号台風による豪雨に伴う土石流で、湖畔の根場(ねんば)、西湖の2集落は大きな被害を出したが、その後、居住地を移し、民宿村を建設した。湖から天然の流出口はないが、河口湖との標高差60メートルを利用した発電用水路により放出されている。釣り、ボートあるいはキャンプなどのレクリエーション地となっている。2013年(平成25)に西湖を含め富士五湖は、富士山域や周辺の神社、忍野八海(おしのはっかい)等の構成資産とともに「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産リストに登録された。富士急行河口湖駅からバス約20分。
[吉村 稔]
中国、浙江(せっこう)省北部、杭州(こうしゅう)市西部にある湖。シー湖、銭塘(せんとう)湖、西子湖ともよばれる。もとは杭州湾に通じる海湾であったが、砂州の堆積(たいせき)により湾口がふさがれて湖となった。南北3.3キロメートル、東西2.8キロメートル、面積6.03平方キロメートル、うち湖面面積5.66平方キロメートル。湖の三面は山に囲まれ、南高峰、玉皇山、鳳凰(ほうおう)山などの諸峰がそびえる。湖面には白堤、蘇堤(そてい)の長堤が走り、この二堤によって外西湖、西里湖、北里湖、南湖、岳湖に分けられる。湖の北部には、清(しん)代に編纂(へんさん)された『四庫全書』を蔵する文瀾閣(ぶんらんかく)のある孤山という島がある。唐代に杭州刺史の李泌(りひつ)が湖水を引いて灌漑(かんがい)に利用し、宋(そう)が杭州に南渡してのち山紫水明の地として知られるようになった。「三潭印月(さんたんいんげつ)」「平湖秋月」「花港観魚」などの西湖十景はとりわけ有名で、周囲には霊隠寺、天竺(てんじく)三寺などの名刹(めいさつ)や岳墳(南宋の忠臣岳飛(がくひ)の墓)、虎跑泉(こほうせん)など名勝、旧跡が多い。中国の代表的な景勝地として内外から多数の観光客が訪れる。なお、中国には、ほかに福建省福州、広東(カントン)省恵州など、西湖とよばれる湖は30か所以上ある。
[林 和生]
中国,浙江省杭州市にある湖。西湖という名の湖は中国に三十数ヵ所あるが,その中で最も著名なもの。杭州市街地の西にあり,周囲の山や歴史的建造物とあいまって,山紫水明の美しい景観を呈し,中国有数の観光地。文芸にもよくとりあげられ,日本にも古くから紹介されなじみの深い景観である。面積は6.03km2,湖中に堤防や島が多く水面だけでは5.66km2。全体に浅く,最深所で2.8m余しかない。もともと洪積世末期には銭塘江の河口左岸に形成されていた小湾の一部であったが,沖積世に入り河口にデルタが形成された結果,内部に封入されてできたもの。今の杭州市街地の部分が,その砂州にあたる。漢代には明聖湖や銭塘湖という名で知られていたが,唐代になり杭州が南方開発の中心として栄えるようになって注目された。封入されてからも,周囲の山地からの河川が運ぶ泥土で,湖水は縮小,沼沢化がすすんでいたが,安定した灌漑用水,都市の生活用水の確保,漕運の便宜,あるいは美しい景観を保持するために修築が加えられ,中でも唐の白居易(楽天)の築いた白堤,宋の蘇軾(そしよく)(東坡)の築いた蘇堤は有名。湖中湖岸の名勝は数多いが,西湖十景と呼ばれるのは,三潭印月,蘇堤春暁,平湖秋月,双峰挿雲,柳浪聞鶯,花港観魚,曲院風荷,断橋残雪,南屛晩鐘,雷峰夕照である。
執筆者:秋山 元秀
富士山北麓,山梨県南都留(みなみつる)郡富士河口湖町にある湖。富士五湖の一つで河口湖の西約1kmにある。富士山噴火の際の溶岩流による堰止湖で,湖面標高900m,面積2.3km2。北側は御坂(みさか)山地の急崖,南は紅葉台の丘陵地にはさまれ,南・西には青木ヶ原の原始林が広がり,五湖中でもっとも静寂なたたずまいをもつ。自然の排水河川はないが,湖面標高が約70m低い河口湖に導水トンネルがつくられ,落差を利用した西湖発電所(1919完成)がある。東岸の西湖,西岸の根場(ねんば)の集落は,1966年9月の台風による山崩れで壊滅的な被害を受けたが,その後青木ヶ原の一角を切り開いて集団移転し,民宿村を営んでいる。
執筆者:横田 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「シー(西)湖」のページをご覧ください。
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