富士山北麓(ほくろく)の山中、河口、西(さい)、精進(しょうじ)、本栖(もとす)の五湖の総称。富士山およびその側火山の溶岩流により、富士山と北側の御坂(みさか)山地の間の谷がせき止められてできた。猿橋溶岩流(さるはしようがんりゅう)により宇津湖と剗海(せのうみ)に分割され、宇津湖の一部は水が流出し忍野(おしの)盆地となり、さらに山中湖と河口湖ができた。一方の剗海はまず本栖湖が分かれ、864年(貞観6)の青木ヶ原溶岩流により西湖と精進湖に分かたれた。現在、自然の流水口をもつのは山中湖のみで、河口湖、西湖、本栖湖は他の目的を兼ねた排水路をもつ。このため大雨による降水に対しては水位の上昇が大きい。
五湖のうち面積が最大のものは山中湖(6.8平方キロメートル)で、最小は精進湖(0.5平方キロメートル)。最大深度は本栖湖が121.6メートルであるのに対し、山中湖、河口湖は15メートル以内である。水色、水温などは湖水の深さ、湧水(ゆうすい)量、湖面の高度などによりかなりの差が認められる。富士箱根伊豆国立公園に属し、それぞれ独自の湖の風景、富士山の姿などが楽しめ、また標高900メートル前後に位置するため各季節のレクリエーションの対象となり、近年保養観光地的な施設も増加している。2013年(平成25)に富士五湖は、富士山域や周辺の神社、忍野八海(おしのはっかい)等の構成資産とともに「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産リストに登録された。
[吉村 稔]
山梨県南部,富士山北麓にある山中湖,河口湖,西(さい)湖,精進(しようじ)湖,本栖(もとす)湖の5湖の総称。富士山から噴出した溶岩流によって北側の御坂山地との間の谷がせき止められてできた。まず,猿橋溶岩流によって宇津湖,剗海(せのうみ)の2湖が形成された。宇津湖はさらに溶岩流によって山中湖,忍野(おしの)湖,河口湖に分けられ,忍野湖は埋積して忍野盆地となった。剗海からはまず本栖湖が分かれ,さらに864年(貞観6)の噴火による青木ヶ原溶岩流で西湖と精進湖に分離した。山中湖からは桂川が流出するが,他の4湖には天然の排水河川がないため,降水量の非常に多いときには水位が上昇し,湖岸が浸水することもある。西湖,精進湖,本栖湖は湖面標高が平水時900mと同一で,溶岩の空隙で湖水がつながっていると考えられる。
各湖の面積,最大深度は山中湖6.4km2,13m,河口湖5.6km2,15m,西湖2.3km2,72m,精進湖0.9km2,15m,本栖湖5.1km2,122m。水深の浅い山中湖,河口湖,精進湖は中・富栄養湖,水深の深い西湖,本栖湖は貧栄養湖で透明度も大きい。湖面標高は河口湖(831m)が最も低く,山中湖(981m)が最も高い。山中湖,精進湖は冬季結氷しスケート場となるが,河口湖は全面結氷することはまれで,西湖,本栖湖は全面結氷しない。富士箱根伊豆国立公園に含まれ,とくに富士山の景観にすぐれる。舟遊び,ワカサギ釣りなどが楽しめ,特に交通の便利な山中湖,河口湖の一帯は観光開発がすすんでいる。
執筆者:横田 忠夫
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