記述言語学（読み）キジュツゲンゴガク（英語表記）descriptive linguistics

デジタル大辞泉

きじゅつ‐げんごがく【記述言語学】

言語学の一分野。ある言語について、時期・地域を限定し、歴史的な考慮を加えずにその諸相をありのままに記述しようとするもの。さらに言語構造についての一般的理論を打ち立てることもめざす。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

きじゅつ‐げんごがく【記述言語学】

〘名〙 言語の研究方法の一つ。特定の言語（方言）の特定の時代での構造をありのままに記述し、さらに言語構造についての一般的な理論を打ち立てようとする学問。

出典　精選版 日本国語大辞典

百科事典マイペディア

記述言語学【きじゅつげんごがく】

言語は本来時間とともに流れているが，一時期を区切ってその構造，体系を明らかにしようとする言語学の一部門。共時言語学とほぼ同じ概念で，構造言語学ともいわれる。いわゆる規範文法ではなく，実際の観察を主にした諸要素の分析に基づく研究方法である。代表的な研究者にはブルームフィールドがいる。
→関連項目言語学｜構造言語学

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

記述言語学
きじゅつげんごがく
descriptive linguistics

一言語のある一時期における状態を科学的に記述する言語学の一部門。共時言語学ともいう。史的言語学に対する。その言語の歴史的変化に関する知識が参考となることはあるが，あくまでも一時期の言語体系の記述が目的であり，変化そのものを対象とはしない。一方，歴史的変化を明らかにするためには各時代の言語の正確な記述が必要である。実際に行われている言語のなかに見出される規則・構造を記述するのが記述文法あるいは記述言語学で，正しい言語活動の規範となることを目的とする規範文法と区別される。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

世界大百科事典（旧版）内の記述言語学の言及

【言語学】より

…まず第1に，ある一定の時期(多くの場合は現代)のある一つの言語に関してその構造などを研究するものがある。〈共時言語学〉〈構造言語学〉あるいは〈記述言語学〉などと呼ばれる。あらゆる人間社会は，人間自らが発する音声を用いて意思伝達，意思交換を行っている。…

【構造言語学】より

…構造言語学ないし構造主義言語学ということばは，ふつう1920年代から50年代にかけてヨーロッパとアメリカに生じた革新的な言語学の諸流派を総称するのに用いられるが，具体的にはプラハの音韻論学派(プラハ言語学派)，コペンハーゲンの言理学グループ，アメリカの記述言語学の諸集団およびそのどれにも属しない諸学者の多種多様な主張や見解が含まれる。最大公約数的な理論上の特徴をあえてあげるならば，言語を記号学的体系と認め，あらゆる言語に普遍的な最小の記号単位の数や組合せの面での相違が言語体系の構造の差異を作ると考えて，各言語の精密かつ全面的な構造的記述の理論と実際を追求する立場といえよう。…

※「記述言語学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」