翻訳|recorder
測定された量の時間的な変化を自動的にグラフにして記録表示する計器。基本的な構成は温度,圧力,電流などの測定量の大きさに対応して記録ペンの位置を変える要素と,記録紙を一定速度で移動させる要素からなる。
記録紙を送るには,電気式または機械式の時計機構が用いられる。記録ペンの駆動方式は大きく分けて2種類ある。
測定対象より直接に駆動エネルギーを得て,記録ペンの位置を変える。その例として,バイメタルの温度による曲りを利用した自記温度計,毛髪の伸び縮みを利用した自記湿度計,うきの上下を利用した水位記録計などがある。ペンを用いた記録計では,ペンと記録紙の摩擦でも感度が制限される。性能は,精度が数%,記録できる周波数帯域も1Hzから十数Hzに上限があるのがふつうである。より高速で変化する現象を電流の変化に変換して記録することを目的とする記録計は,電磁オシログラフ(オシログラフ)という。可動コイル型電流計の指針の代りに小型の鏡を取り付ける。測定電流により鏡がわずか回転する。これに点光源からの光を反射させ,感光紙上に光源像を結ばせる。電流の変化は鏡を回転させ,感光紙上の光点が移動して,電流波形を記録する。記録可能な電流変化の周波数上限は1000Hz程度である。
サーボ式記録計ともいう。電子技術を応用し,電圧の変化を高い感度とよい精度で記録できるので,工業用,研究用に多く利用されている。その原理は正逆回転できるモーターが記録ペンを移動させるとともに,ペン位置に応じた電圧を発生する電位差計も動かす。モーターの回転方向は発生電圧が測定電圧を打ち消すようにつくられている。これらの二つの電圧の大きさが等しくなるとき,モーターを動かす電力を供給する増幅器への入力がなくなり,モーターは止まる。以上の動作が連続して行われるので測定電圧とペンの位置が対応する。
自動平衡型記録計で電圧以外の量を測定するには,測定しようとする量を電圧に変換するセンサーおよび変換器を必要とする。記録の精度は記録幅の±0.5%程度,記録できる電圧変化の周波数上限は1Hzまでのものが多い。
自動平衡型記録計の応用に多点記録計とXY記録計がある。多点記録計は多くの測定点を順次切り換えて測定し,ペンもこの切換えに同期して色を変えて打点記録する。XY記録計には二つの測定量に対応した独立な自動平衡型記録計がある。ただし記録ペンは1個で,機構的に互いに直角なX軸とY軸方向におのおのの測定量に比例して移動する。記録紙は静止しており,その上に二つの測定量の関係がグラフでかかれる。
記録を紙とペンで行うものがほとんどであるが,感熱紙と熱ペンや感光紙と光学系機構を用いるものもある。とくに磁気記録は測定量を電気的信号に変換して記録されるので,非常に多量の情報を高速に記録可能である。これらは装置も記録計と比べ規模が大きく,計録計器または記録装置と呼ばれる。とくに連続的に変化する測定量を,非常に高い頻度できわめて短時間にサンプリングし,その大きさをディジタル符号に変換して順次記録する方法は,記録が正確なだけでなく,コンピューターによる演算処理を行って直接利用できる形式で記録を読みとることができるので,急速に発展しつつある。
執筆者:加藤 敏男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…洋楽の管楽器の一種。エア・リードの笛,つまり広義のフルートに属し,指孔は前面に7,背面に1の計8個。英語の動詞recordに,古くは鳥の〈さえずる〉意味があり,語源かといわれる。縦に構え上端をくわえて吹く。上端は栓をしてあるが,1ヵ所だけ空気の通るすきまをあけ,呼気を近くの歌口に導くようになっている。また不要部を削ってくわえやすくする結果,外観は嘴(くちばし)状をなす。別名ブロックフレーテBlockflöte(ドイツ語)は管端の栓(ブロック)から,フリュート・ア・ベックflûte à bec(フランス語)は嘴(ベック)からきている。…
※「記録計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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