証券取引所の会員(=証券会社)に対し,信用取引(証券会社と顧客間の貸借)の決済に必要な金銭または有価証券の貸付けをその証券取引所の決済機構を利用して行うことを主要業務とし,このほか証券会社,一般投資家に対し証券担保金融も行う会社。証券取引法に規定された会社であり,一定額以上の資本金をもつ株式会社でなければならない。またその業務を営むには大蔵大臣の免許が必要であり,大蔵大臣の監督下にある。現在の証券金融会社は東京に日本証券金融株式会社(日証金),大阪に大阪証券金融株式会社(大証金),名古屋に中部証券金融株式会社(中証金)の3社がある。日証金は福岡,新潟,札幌,大証金は京都,神戸,広島に支店をもつ。証券金融会社は1949年証券取引所の再開に伴い,同年秋から翌50年に九つの各証券取引所所在地に設立された。その設立趣旨は株式市場の振興を図るとともに,証券担保金融を充実させることによって株式市場の健全な発展を図ることにあった。55年に証券取引法が改正され証券金融会社が免許制となるに伴い,従来の9社が前記3社に統合された。証券金融会社の融資業務は,貸借取引貸付,公社債貸付,一般貸付の3業務に分けられる。貸借取引(証券会社と証券金融会社間の貸借)貸付は会員証券会社に対する融資,貸株であるが,金融情勢,証券市場の動向等を勘案し,貸付条件を変更したり新規申込みの受付を停止することによって,株式市場の過熱を抑制したりする。なお各証券金融会社の貸借取引貸付残高,とくに日証金のそれ(日証金残高)は株式投資のための重要な材料の一つとして利用される。公社債貸付には会員証券会社に対して行う公社債の引受け,売買に伴う短期貸付と,個人に対する公社債担保貸付がある。一般貸付は一般の金融機関が行っている有価証券担保金融とほぼ同じである。
執筆者:吉岡 正毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
証券取引所(金融商品取引所)における株式の信用取引の決済に必要な金銭または株券を取引所の会員証券会社に貸し付けることを主要業務とする特殊な金融機関。金融商品取引法(昭和23年法律25号。2007年9月の改正法施行以前は証券取引法)に規定された会社であり、一定額以上の資本金をもつ株式会社で、内閣総理大臣の免許を受けなければならない。1949年(昭和24)の証券取引所の再開に伴い、同年秋から翌1950年にかけて、全国九つの証券取引所所在地にそれぞれ設立され、日本銀行の資金的援助の下にその機能を発揮したが、1955年に証券取引法が改正されて証券金融会社が免許制に移行するとともに、日本証券金融株式会社(東京)、大阪証券金融株式会社、中部証券金融株式会社(名古屋)の3社に統合された。2013年(平成25)、東京証券取引所グループと大阪証券取引所の経営統合に伴い、日本証券金融株式会社と大阪証券金融株式会社が合併し(社名は日本証券金融株式会社)、2社となった。
業務としては、信用取引のための貸付のほか、証券会社やその顧客に対して、株券や公社債を担保として、金銭の貸付も行っている。株式市場においては、証券金融会社の融資残高、とくに日本証券金融株式会社のそれは、市場人気の尺度として株価予測上の重要指標の一つとされている。
[後藤 猛]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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