証空(読み)ショウクウ

デジタル大辞泉 「証空」の意味・読み・例文・類語

しょうくう【証空】

[1177~1247]鎌倉前期の浄土宗の僧。西山派の祖。14歳で出家し、法然師事念仏や天台教義にも通じた。のち、西山善峰寺に住み、浄土教宣揚した。著「観門要義鈔」など。善慧坊。

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精選版 日本国語大辞典 「証空」の意味・読み・例文・類語

しょうくう【証空】

  1. 鎌倉初期の浄土宗の僧。善慧房と号し、世に西山上人という。西山派の祖。一四歳のとき法然の弟子となって浄土教に帰依したが、のち別に顕密二教を学ぶ。法然の選択集の撰述に際しては勘文の役をつとめ、建保元年(一二一三)西山の善峰寺にはいって浄土教をひろめた。宮中と関係も深い。著書に「観経疏」一〇巻、「選択集密要決」など。治承元~宝治元年(一一七七‐一二四七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「証空」の意味・わかりやすい解説

証空
しょうくう
(1177―1247)

鎌倉時代の僧。法然(ほうねん)(源空)の高弟の一人。浄土宗西山(せいざん)派の開祖。善慧房(ぜんねぼう)ともいう。源親季(みなもとのちかすえ)の長男として生まれ、9歳の春、久我通親(こがみちちか)(源通親)の養子となる。14歳のとき法然の弟子となり、以後23年間師の浄土教学を学んだ。弟子たちへの手紙の代筆をするなどその門弟中における地位はきわめて高かったが、1212年(建暦2)師の入滅にあい、以後、京都西山の三鈷寺(さんこじ)(旧称、往生院)を根拠地として今日の西山派の基礎を築いた。その教えは天台学を援用して、師法然の浄土教の再組織化を目ざしたもので、きわめて哲学的であり、かつまったく独特の解釈を展開している。その教化はとりわけ当時の貴族階級に多くの支持者を獲得した。おもな高弟に法興浄音(ほっこうじょうおん)(1201―1271)、円空立信(えんくうりゅうしん)(1213―1284)、観鏡証入(かんきょうしょうにゅう)(1196―1245)、道観証慧(どうかんしょうえ)(1195―1264)らがおり、その流れを西山四流という。著述に『自筆鈔(しょう)』『他筆鈔』『観経疏(かんぎょうしょ)大意』などがある。

[廣川尭敏 2017年8月21日]

『杉紫朗著『西鎮教義概論』(1924・龍谷大学出版部/復刻版・1975・百華苑)』『森英純著『白木の聖者――西山上人の生涯』(1948・西山専門学校)』『森英純著『西山証空上人』(1973・光明寺)』『森英純編『西山上人短篇鈔物集』(1980・西山短期大学)』

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朝日日本歴史人物事典 「証空」の解説

証空

没年:宝治1.11.26(1247.12.24)
生年:治承1.11.9(1177.11.30)
浄土宗の西山派の派祖。法然の高弟。加賀権守源親季の子で,内大臣久我通親の養子。14歳で法然門下に入る。22歳のときに安楽房遵西,真観房感西と共に『選択集』の製作に携わり,経釈の要文を検出する勘文の役を勤めた。法然の代わりに九条兼実に『選択集』を講じたり,法然の代筆を行うこともあった。元久1(1204)年に法然が『七箇条起請文』を記した際は,4番目に署名していることからして,多くの門弟のなかでも高い地位を占めていたと考えられる。法然の遺言状である『没後起請文』では,7人の入室弟子のひとりとして名前が挙がっている。長く法然の側に仕えて,円頓菩薩戒を相伝した。法然の晩年の思想に影響を受け,善導の『観無量寿経疏』を繰り返し読んだといわれる。その釈文を四方の壁や天井に書きつけ,常に眺めていたという逸話が伝えられる。 建永の法難,嘉禄の法難時に連座し流罪されかかるが,慈円の庇護で流罪を逃れた。法然没後,慈円から山城(京都府)西山善峯寺北尾往生院を譲り受けて,そこを念仏の道場とし,不断念仏,六時礼讃などの行法を行った。また往生院を本拠として,『観無量寿経疏』をはじめ善導の著述の講説を行うために畿内一円の各地に出向いた。日野願蓮につき天台を学び,政春 につき密教を学んだ。寛喜1(1229)年に大和国(奈良県)当麻寺で観経曼陀羅を見て,『観無量寿経疏』の趣旨が象徴的に表現されていることに感動し,以後その流通に努める。宮中との関係が深く,寛元1(1243)年に後嵯峨天皇に円頓戒を授け,勅により歓喜心院を創建した。たびたび宮中に参内し,西山義を講じた。法然の他の門弟が京都から法難によって追放されていくと,西山派が京中では最大の勢力を誇るようになった。主な門弟に浄音,立信,証慧らがいる。<著作>『観門要義鈔』『観経疏他筆鈔』『観経秘決集』『選択密要決』『当麻曼陀羅』<参考文献>菊地勇次郎『源空とその門下』

(林淳)

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改訂新版 世界大百科事典 「証空」の意味・わかりやすい解説

証空 (しょうくう)
生没年:1177-1247(治承1-宝治1)

鎌倉時代の浄土宗西山(せいざん)派の派祖。西山上人と称する。加賀権守源親季の子に生まれ,内大臣久我通親の養子となった。1190年(建久1)に法然房源空の弟子となり,浄土宗の教義を学び,円頓菩薩戒も相伝した。98年法然が《選択(せんちやく)本願念仏集》を著したとき勘文役をつとめ,法然門下で高い地位を占め,99年(正治1)師に代わって関白九条兼実に同書を講じた。また日野の願蓮と弁阿闍梨政春に天台宗を学び,1207年(承元1)の法難のときには,兼実の弟で青蓮院(しようれんいん)門跡の慈円に預けられ,遠流を免れた。法然の滅後慈円の譲りを受けて西山善峰寺の別所往生院(のちの参鈷(さんこ)寺)に住み,洛中洛外で《観無量寿経疏》をはじめ善導の著を講じ,《観門要義鈔》41巻として残した。27年(安貞1)の法難のときも流罪を免れたのは,このような背景があり,説くところ安心領解の説などが天台宗の教義もとり込んでいたからでもあろう。門下の西山派は,西谷,深草,東山,嵯峨の4流に分かれた。
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百科事典マイペディア 「証空」の意味・わかりやすい解説

証空【しょうくう】

鎌倉初期の浄土宗の僧。西山(せいざん)派の開祖。西山上人(しょうにん)と通称する。京都の公卿の出身で,14歳で法然(ほうねん)の門に入る。《選択(せんちゃく)本願念仏集》の撰述に際し,勘文(かんもん)役を務め,のち京の西山の善峰(よしみね)寺に住し,法然没後の宗旨の宣揚に努力した。著書は《選択集要決》《観門要義鈔》など。
→関連項目光明寺三鈷寺浄土宗

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「証空」の解説

証空(2) しょうくう

1177-1247 鎌倉時代の僧。
治承(じしょう)元年11月9日生まれ。源親季(ちかすえ)の子。源通親(みちちか)の養子。浄土宗西山派の祖。法然(ほうねん)に師事し,その死後,慈円(じえん)からゆずられた西山善峰寺の往生院で善導の教えを講説。歓喜心院,浄橋寺などを創建した。宝治(ほうじ)元年11月26日死去。71歳。京都出身。号は解脱(げだつ)房,善慧(ぜんね)房。諡号(しごう)は鑑智国師。著作に「観経要義釈観門義鈔」(「観門要義鈔」)など。

証空(1) しょうくう

?-? 平安時代中期の僧。
天台宗。近江(おうみ)(滋賀県)園城(おんじょう)寺の智興(ちこう)に師事し,のち常住院をひらく。天元(978-983)のはじめ智興が病にたおれたとき,安倍晴明の秘法により師の身代わりとなって病にかかる。夢うつつのなかで日ごろ信仰する不動明王があらわれ,「私が汝(なんじ)のかわりになろう」とつげると,証空の病はすぐになおったという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「証空」の意味・わかりやすい解説

証空
しょうくう

[生]治承1(1177)?
[没]宝治1(1247)
鎌倉時代の僧。浄土宗西山派の祖。房号は善恵。内大臣久我通親の猶子。法然の弟子。

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367日誕生日大事典 「証空」の解説

証空 (しょうくう)

生年月日:1177年11月9日
鎌倉時代前期の浄土宗の僧
1247年没

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世界大百科事典(旧版)内の証空の言及

【浄土宗】より

…教団としての成長をみるのは後鳥羽天皇のころからである。初期浄土宗諸派の始祖となった証空(西山(せいざん)派),弁長(鎮西(ちんぜい)派),幸西(一念義派),長西(諸行本願義派),隆寛(多念義派)らがあいついで門弟となり,1201年(建仁1)親鸞が入門した。九条兼実,熊谷直実ら貴族や武士の帰依者も増えた。…

※「証空」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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