ロベルト・シューマン作曲の連作歌曲集(作品48)。歌詞はハイネの詩集『歌の本』にある「叙情的挿曲」Lyrisches Intermezzo(1822~23)から選ばれている。シューマンが集中的に歌曲に取り組んだ、いわゆる「歌の年」(1840)に書かれたこの歌曲集は、彼の創作活動の最高峰をなすばかりでなく、ドイツ・ロマン派歌曲の代表的作品として評価されている。全体は16曲からなり、第1~6曲は愛の喜び、第7~14曲は失恋の痛み、第15、16曲は失われた青春への郷愁を歌う。曲の多くはハイネの詩に従って規模も小さく、歌の旋律もそれ自体としてはけっして流麗とはいえないが、ピアノの伴奏がそこに加わるとき、歌詞の微妙な情感がみごとなまでに息づいてくる。民謡を思わせる有節形式(詩の各節を同一の旋律で歌う)で書かれた素朴な歌の旋律に、ピアノが調性の不安定な分散和音で背景をつくり、春のあこがれの胸苦しさを表現する第1曲「いと美しき五月に」などはそのよい例であろう。そして、庭の花が詩人に語りかける「明るい夏の朝に」(第12曲)における詩と音楽の精妙な一致は、シューマンが独自の新しい表現領域へ足を踏み入れたことを如実に示している。
[三宅幸夫]
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…ピアノ曲では《パピヨン》(1831),《謝肉祭》(1835),《幻想小曲集》(1837),《子どもの情景》(1838),《クライスレリアーナ》(1838),《幻想曲》(1838)など詩的な作品群のほか,ソナタや変奏曲など伝統的な形式にも新しい内容が盛られた。歌曲ではハイネ《詩人の恋》(1840),アイヒェンドルフ《リーダークライス》(1840),シャミッソー《女の愛と生涯》(1840)などロマン派詩人の作品に音楽をつけ,詩と音楽の高度の統一,ピアノ部分の充実など,シューベルトの遺産を受け継いで独自のロマン的様式を実現する。 中期は30歳代で,《交響曲第1番春》(1841),《第2番》(1846),《第3番ライン》(1850),1842年に続けて書き上げられた弦楽四重奏曲3曲とピアノ五重奏曲,ピアノ四重奏曲,47年の2曲のピアノ三重奏曲などの室内楽から,オラトリオ《楽園とペリ》(1843),オペラ《ゲノフェーファ》(1849)へと創作の幅を広げ,普遍的作曲家としての名声を確立する。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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