課戸(読み)カコ(その他表記)Kè hù

デジタル大辞泉 「課戸」の意味・読み・例文・類語

か‐こ〔クワ‐〕【課戸】

律令制で、課口かこうがいる戸。

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精選版 日本国語大辞典 「課戸」の意味・読み・例文・類語

か‐こクヮ‥【課戸】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、課口(かこう)を含む戸の称。令制の財政単位をなすもので、天平一九年(七四七)には正丁(せいてい)五・六人、中男(ちゅうなん)一人を含む戸を標準戸とすると定めている(続日本紀)。⇔不課戸。
    1. [初出の実例]「戸内有課口者。為課戸。無課口者。為不課戸」(出典令義解(718)戸)

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改訂新版 世界大百科事典 「課戸」の意味・わかりやすい解説

課戸 (かこ)
Kè hù

中国,隋・唐時代の律令制下において,課役(かえき)を負担する者を課口,負担せぬ者を不課口と定めたが,1人でも課口のいる家を課戸と呼び,公課徴収の対象として重視された。当代は官人や商人,僧侶道士,賤民はみな不課とされたので,農民主体とする障害のない男子正丁(21~59歳,時代により若干変動)のいる戸に限られた。盛唐の天宝時代(742-755)の統計によると,全戸のうち課戸が6割を占めている。
課丁
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「課戸」の意味・わかりやすい解説

課戸
かこ

律令(りつりょう)制下において、課口(かこう)すなわち調、庸、雑徭(ぞうよう)などの負担者が1人以上いる戸のこと。課口のいない戸を不課戸という。律令官人などに支給する封戸(ふこ)は課戸をもってあてるが、705年(慶雲2)正丁(せいてい)4人をもって一戸に準ずるとし、標準課戸を定めた。

 ついで747年(天平19)に一戸内の正丁数を5、6人、中男(ちゅうなん)1人を標準課口数とし、以後これを例としたが、『延喜(えんぎ)民部式』によると正丁4人、中男1人を一戸の標準数としている。

[米田雄介]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「課戸」の意味・わかりやすい解説

課戸
かこ

令制の税制上,夫役 (ぶやく) を課される者が1人以上いる家。官僚に給与される封戸 (ふこ) も課戸であり,課戸は令制国家の財政的基盤であった。課戸を基準とした封戸は,課戸内の課口人数に差があり,その収益に差が出て不公平なものであったから,この弊害をなくすため,慶雲2 (705) 年には4丁で1戸とし,さらに天平 19 (747) 年には1戸内に正丁5~6人,中男1人を標準課戸と定めた。『延喜式』には,正丁4人,中男1人をもって1戸となす,と定められた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「課戸」の解説

課戸
かこ

律令制における民衆支配の基礎的区分で,戸内に課口のいる戸をさす。これに対して課口が1人もいない戸を不課戸とよんだ。唐では課戸数は重視され,皇帝へ奏上される戸口統計にもみえ,戸を単位に力役などをわりあてる差科(さか)制の基礎として機能したらしい。日本では,戸を単位とする差科制が導入されず,1戸が平均二十数人からなり実際には不課戸がほとんど存在しないことなどから,課戸にはあまり意味がなく,むしろ直接調庸納入数にかかわる課口数が重視された。

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普及版 字通 「課戸」の読み・字形・画数・意味

【課戸】かこ

課役の義務のある家。

字通「課」の項目を見る

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旺文社日本史事典 三訂版 「課戸」の解説

課戸
かこ

律令制において,課口のいる戸をいう。

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世界大百科事典(旧版)内の課戸の言及

【律令格式】より

… いわゆる律令制の中で最大の特色とするのは均田制である。その均田制の対象とされる農民を課戸と言うが,課戸は一種の身分である。課戸は一定の農地の分配を受けるはずであるが,その農地が規定よりもはなはだしく狭小な場合でも,その負担である租庸調の徴集は減額されないのである。…

※「課戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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