諸法実相(読み)ショホウジッソウ

デジタル大辞泉 「諸法実相」の意味・読み・例文・類語

しょほう‐じっそう〔シヨホフジツサウ〕【諸法実相】

仏語。あらゆる事物現象がそのまま真実の姿であるということ。

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精選版 日本国語大辞典 「諸法実相」の意味・読み・例文・類語

しょほう‐じっそうショホフジッサウ【諸法実相】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。一切存在の真実の姿。この世に存在するあらゆる事物のありのままの姿。ただし解釈は一様ではなく、般若波羅蜜とするもの、言語思考を越えた絶対否定の理とするもの、あるいは空・有を越えた絶対肯定の中道の理とするものなどがある。〔法華義疏(7C前)〕
    1. [初出の実例]「閑かに諸法実相の理(ことわり)を案ずるに、かの狂言綺語の戯、かへりて讚仏乗の縁たり」(出典十訓抄(1252)序)
    2. [その他の文献]〔法華経‐序品〕

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改訂新版 世界大百科事典 「諸法実相」の意味・わかりやすい解説

諸法実相 (しょほうじっそう)

仏陀の〈さとり〉の世界から見た森羅万象の真実のすがたという意。諸法とはあらゆる存在,実相とはありのままの真実のすがたのこと。《法華経》の方便品(ほうべんぼん)には,この実相の世界は仏陀の知見したもうところ(仏知見)によってすべて絶対平等である真実のすがたが照らし出されると説かれる。諸法実相は大乗仏教の根本思想として重視されるが,そのとらえ方には発展が見られる。三論宗では空(くう)の理を諸法実相であるとし,天台宗では空・仮(け)・中(ちゆう)の三諦(さんたい)(真理を示す三様の論理)を統一した中道第一義諦(ちゆうどうだいいちぎたい)の理と理解し,禅宗では〈柳は緑,花は紅〉といい,本来の面目が諸法実相を表すとする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「諸法実相」の意味・わかりやすい解説

諸法実相
しょほうじっそう

仏教用語。『般若経(はんにゃきょう)』『法華経(ほけきょう)』などに現れる思想の一つ。サンスクリット語のダルマターdharmatāなどの漢訳語。現象としてのあらゆる存在の背後にある、ありのままの真実のすがた。またすべての存在の真実究極のすがた。この思想は大乗仏教思想に一貫して流れ、現象の背後にある真実の相を把握しなければ、人間としての真の生きがいを体得することはできないという。また、現象としての存在、および心作用に執着することなく、実体として見ないという立場(空観(くうがん))によって、諸法実相が顕現するとされる。中国天台宗以後、この訳語をもとに、「諸法は実相なり」と読解されることがしばしば行われた。この意味は、「現象としての存在は、そのまま真実在の現れであり、真実の相である」ということである。その後、この「諸法実相」の語は、中国・日本仏教の各宗において、種々の意義をもつものとして解され、その意義はかならずしも一定していない。

[坂部 明]

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百科事典マイペディア 「諸法実相」の意味・わかりやすい解説

諸法実相【しょほうじっそう】

仏教における根本的教義の一つ。サンスクリットのダルマターの漢訳。《法華経玄義》では,畢竟空(ひっきようくう),涅槃(ねはん)などと同義とする。もとは〈現象として存在するあらゆるものの真実の姿〉の意。《法華経》や竜樹の説において強調され,現象とその背後にある真実とが隔たりのない境地,一切のものが完全に調和した世界,迷いのまま悟りの世界を見ることのできる立場などの意味に解されてきた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「諸法実相」の意味・わかりやすい解説

諸法実相
しょほうじっそう

仏教用語。この現実の世界の存在の真の姿,また,すべての存在に普遍的に存する,時間や空間を超越した絶対的真実。その解釈は宗派などによって諸説がある。

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